タイ首相「辞任も議会解散もしない」閣僚が表明

首相は国が直面する様々な危機を最大限の努力で解決するため、職務を継続すると私たちに示しました。
タイのペートンタン首相(ロイター通信)

タイのペートンタン(Paetongtarn Shinawatra)首相は21日、辞任も議会解散もしない方針を示した。これにより、政治危機が長期化するリスクが高まった。

一部の政府高官はSNSへの投稿で、ペートンタン氏は辞任も議会解散もしないとの立場を表明。隣国カンボジアとの国境紛争の対応で批判が高まる中、世論の反発を受け入れつつ、政権を維持すると示唆した形だ。

首相府の報道官はフェイスブックにこう書いている。「首相は国が直面する様々な危機を最大限の努力で解決するため、職務を継続すると私たちに示しました」「首相は辞任せず、議会を解散もせず、業務を継続します」

連立政権の第2党である「タイの誇り党」は18日、政権から離脱した。

これにより、ペートンタン氏は69議席を失い、窮地に立たされた。

タイの誇り党はペートンタン氏とカンボジアの前首相であるフン・セン(Hun Sen)上院議員との電話会談がリークされた後、離脱を表明した。

ペートンタン氏は地元メディアがリークした電話会談で、フン・セン氏に対し、「国内で圧力に直面している」と述べ、カンボジアとの国境地帯でタイ軍を監督する将校を含めた「反対派」の意見に耳を傾けないよう求めた。

カンボジア軍は5月28日にタイ国境沿いでパトロールを実施していたところ、タイ側が銃撃したと主張。タイ軍はカンボジア兵が国境沿いの係争地に侵入したため、威嚇射撃を行い、カンボジア兵が反撃したため応戦したと説明している。

この衝突は約10分間続き、カンボジア兵1人が死亡。現地の指揮官が互いに連絡を取り合い攻撃をやめるよう部隊に命じた。

ペートンタン氏の支持率はこの衝突でさらに低下。多くの有権者が政治経験が浅い同氏の対応に疑問を呈している。

有権者はペートンタン氏がカンボジアで最も強力な政治家であるフン・セン氏に国内情勢について相談し、軍幹部を軽視したことに憤慨している。

両国は1907年にカンボジアがフランスの植民地だった時代に策定された国境をめぐり、1世紀以上にわたって争ってきた。

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