タイ首相、辞任要求を拒否「連立パートナーの支持得ている」

ペートンタン氏は22日、連立パートナーとの会合後、X(旧ツイッター)を更新。「タイは団結し、問題を解決するための政策を推進しなければならない」と書いた。
2025年6月19日/タイ、首都バンコク、ペートンタン首相(AP通信)

タイのペートンタン(Paetongtarn Shinawatra)首相は22日、野党と有権者による辞任要求を退け、連立政権のパートナーから支持を得ていると表明した。

連立政権の第2党である「タイの誇り党」は18日、政権から離脱した。

これにより、ペートンタン氏は69議席を失い、窮地に立たされた。

タイの誇り党はペートンタン氏とカンボジアの前首相であるフン・セン(Hun Sen)上院議員との電話会談がリークされた後、離脱を表明した。

ペートンタン氏は地元メディアがリークした電話会談で、フン・セン氏に対し、「国内で圧力に直面している」と述べ、カンボジアとの国境地帯でタイ軍を監督する将校を含めた「反対派」の意見に耳を傾けないよう求めた。

カンボジア軍は5月28日にタイ国境沿いでパトロールを実施していたところ、タイ側が銃撃したと主張。タイ軍はカンボジア兵が国境沿いの係争地に侵入したため、威嚇射撃を行い、カンボジア兵が反撃したため応戦したと説明している。

この衝突は約10分間続き、カンボジア兵1人が死亡。現地の指揮官が互いに連絡を取り合い攻撃をやめるよう部隊に命じた。

ペートンタン氏の支持率はこの衝突でさらに低下。多くの有権者が政治経験が浅い同氏の対応に疑問を呈している。

反対派はペートンタン氏がカンボジアで最も強力な政治家であるフン・セン氏に国内情勢について相談し、軍幹部を軽視したことを非難している。

ペートンタン氏はフン・セン氏の圧力に屈し、タイ軍の幹部を軽視。野党はこれを「売国行為」と呼び、解散総選挙を要求した。

ペートンタン氏は22日、連立パートナーとの会合後、X(旧ツイッター)を更新。「タイは団結し、問題を解決するための政策を推進しなければならない」と書いた。

またペートンタン氏は「全ての連立パートナーから支持を得た」と強調。「国家安全保障への脅威に対処する」と述べた。

タイ統一党(UTN)は会合前、連立を維持する見返りにペートンタン氏に辞任を要求すると示唆していた。

地元メディアはトランプ米政権との関税交渉で結果が出なければ連立政権が崩壊する可能性もあると報じている。

タイはトランプ政権による関税の影響を強く受ける国のひとつであり、90日間の一時停止措置が7月9日に切れると、36%の相互関税が課されることになる。

タイとカンボジアは1907年にカンボジアがフランスの植民地だった時代に策定された国境をめぐり、1世紀以上にわたって争ってきた。

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