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タイとカンボジア、停戦再開に向けた協議を開始、国境で衝突続く中

両国は2週間にわたって国境付近で衝突し、この間に少なくとも86人が死亡、数十万人が避難を余儀なくされている。
2025年12月20日/タイとカンボジアの国境近くに設置された避難所(ロイター通信)

タイとカンボジアの軍当局は12月24日、国境地帯での停戦再開に向けた協議を開始したと発表した。両国は2週間にわたって国境付近で衝突し、この間に少なくとも86人が死亡、数十万人が避難を余儀なくされている。両軍の協議は817キロメートルにおよぶ国境に近い検問所で開始され、3日間の予定で実施される見込みである。

この協議は12月22日にマレーシア・クアラルンプールで開かれたASEAN外相会合の後に行われた。外相たちはASEAN議長国であるマレーシアや米国が仲介した休戦合意の再開に向けて協議した。この協議が順調に進めば、12月27日に国防相レベルでの会合が開かれる可能性があるとしている。

タイ国防省の報道官は24日、今回の協議が「国境合同委員会」の会合として3日間にわたり開催され、合意につながる道を開くことが期待されていると述べた。カンボジア国防省も両国の高官が協議を開始したと発表した。

両国は互いの停戦違反を非難し合っている。カンボジアはタイ軍が避難所などを空爆したと非難し、タイ政府はカンボジア軍が民間地域を砲撃したと主張している。両国は10月にマレーシアと米国の首脳立ち会いのもと、停戦合意を結び、地雷除去や重火器の撤去を約束したが、その履行を巡って対立が続いた。

衝突は今月初旬に再燃し、国境沿いの森や集落を含む複数地点で戦闘が続いているものとみられる。カンボジア側ではこれまでに少なくとも21人の民間人が死亡し、50万人以上が避難していると報告されている。タイ側では少なくとも65人が死亡、15万人余りが避難したと伝えられている。

米国務省の報道官は24日、国境での戦闘と民間人の犠牲に改めて懸念を示し、直ちに敵対行為を停止し、停戦の履行および10月に合意された平和措置の完全な実施を強く求めると表明した。米政府はルビオ(Maro Rubio)国務長官が両国とマレーシア政府と連絡を取り、緊張緩和の必要性を伝えていると説明している。

両国の協議は衝突の激化が市民生活に甚大な影響を及ぼしている中で行われており、地域の安定回復に向けて重要な局面を迎えている。

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