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台湾、中国「小紅書」を1年間禁止へ、サイバー犯罪の温床に

小紅書は2024年以降、台湾国内で1700件以上の詐欺事件に関与し、被害総額は約7.9百万米ドル(12.2億円)に上る。
2021年6月4日/中国のソーシャルメディアおよびeコマースプラットフォームの小紅書のアプリ画面(Getty Images/AFP通信)

台湾当局は4日、中国発のソーシャルメディアアプリ「小紅書(RedNote)」について、詐欺および情報セキュリティ上の問題を理由に、国内でのアクセスを暫定的に1年間停止すると発表した。

それによると、小紅書は2024年以降、台湾国内で1700件以上の詐欺事件に関与し、被害総額は約7.9百万米ドル(12.2億円)に上る。また、国家安全局とデジタル関連当局による最新のサイバーセキュリティ検査では、小紅書は15項目すべての安全性指標で不合格となっており、ユーザーの個人データの扱いや情報流出のリスクが重大であると判断された。

犯罪防止の緊急措置として、内政部は「ネットワーク上の停止解析および接続制限命令」を出し、即日実施に移ると説明した。これにより、台湾国内のインターネットサービスプロバイダ(ISP)は小紅書へのアクセスを遮断するよう技術措置を講じ、アプリを起動してもロード画面のまま接続できなくなる見込みである。

対象となるのは台湾国内に約300万人いるとされる小紅書ユーザー。当局は「既にアプリをダウンロードしたユーザーにも使用停止を強く促す」と表明すした。

さらに、今後の対応は同社が台湾の法律に従い、現地で法的代表者を立てて適切な情報保護体制を整えるかどうかに委ねられるとしている。

今回の措置はオンライン決済詐欺、偽のネットショップ、架空投資、ロマンス詐欺、成人向けの勧誘詐欺など、多様な手口を通じて行われたサイバー犯罪が背景にある。特に偽ショッピングサイトや分割払いのキャンセル詐欺、偽投資、ロマンスを装った詐欺などが多かったという。

台湾当局は中国製アプリが国外の法規制や司法管轄権の外にあることで、詐欺事件の捜査・被害者救済が困難になると指摘。小紅書が国内法の遵守義務を怠り続けてきた点を重く見ており、今回のアクセス遮断を「国のデジタル主権および市民の個人情報保護を守るための必要な措置」と説明している。

また当局は、今回の措置は特定の国を標的としたものではなく、「詐欺・偽情報の横行や情報セキュリティの観点から高リスクと判断されたアプリ全般に対する警告」であると強調。市民に対しては、インストール済みのアプリの削除や、情報保護の基準を満たす他の合法的なプラットフォームの利用への切り替えを呼びかけた。

これまでにも台湾政府は、中国製ソフトウェア/アプリに対するセキュリティ・プライバシーの警戒を強めており、今回の小紅書への対応はその一環とみられる。今後、小紅書側が台湾の要求に応じ、法的な代表者の選任や情報管理の改善を行うか、あるいは遮断措置が延長されるかどうかが注目される。

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