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台湾総統が新年の演説「主権守る」中国の軍事演習受け

中国人民解放軍は「正義使命2025」と名付けた軍事演習を昨年末に開始。艦艇や戦闘機、ロケット砲部隊など多数の兵力を展開して台湾本島を取り巻く形で訓練を行った。
2026年1月1日/台湾、首都台北、新年を祝う頼清徳 総統(中央)ら政府関係者(AP通信)

台湾の頼清徳(Lai Ching-te)総統は1月1日、新年の演説で、台湾の主権を堅持すると改めて強調した。演説は民主主義を掲げる台湾と「一つの中国」を主張する中国との緊張が続く中で行われたものである。

中国人民解放軍は「正義使命2025」と名付けた軍事演習を昨年末に開始。艦艇や戦闘機、ロケット砲部隊など多数の兵力を展開して台湾本島を取り巻く形で訓練を行った。中国側はこれを「外部勢力の干渉や台湾独立勢力への警告」と説明し、国家主権と領土保全を守るための正当な措置だと主張した。

頼総統は演説で、「中国の拡張主義的な野心に直面する中、国際社会は台湾人が自らを守る決意を持っているかを見ている」と述べ、国民に一致団結を呼びかけた。また、台湾の防衛能力を強化するための予算案について、与野党の協力を求める姿勢を示した。具体的には、2026〜33年の防衛強化計画に40億ドル規模の予算を充てる提案を支持するよう訴えた。

頼総統は「最悪の事態に備えつつ、最善を望むべきだ」と述べ、現実的な安全保障政策の重要性を強調した。一方で、平和的な関係構築への意欲も示し、「中国が台湾の民主的な存在を認め、相互尊重に基づく協力が可能であれば、対話を通じた平和的な環境の促進に努める」と述べた。

中国は台湾を自国領土の一部とみなし、統一を最終目標として掲げている。演習は台湾への武器売却や米国など西側諸国との軍事的・外交的関係強化に対する反発の一環と見られている。米国は台湾への大型武器売却(110億ドル規模)を進め、これに対して中国は強く反発している。

台湾政府は中国の軍事行動を地域の安全保障を脅かす挑発行為と非難し、国際社会に対しても懸念を共有するよう求めている。日本政府も中国軍の演習について「緊張を高める行為」と懸念を示し、対話による平和的解決を求めた。

国際社会では中国の軍事的圧力に対して批判が強まっており、EUやイギリスなどが演習に深刻な懸念を表明した。台湾は地域の平和と安定にとって重要な存在であり、民主的な統治と主権の尊重が国際秩序の基盤であるとの見方が広がっている。

頼総統は国防強化と同時に、社会全体の強靭性を高める必要性を訴え、国民に対して「台湾を安全で持続可能な社会にするための取り組みを進める」と語った。台湾は今後も自己防衛の姿勢を維持しつつ、中国との緊張緩和の可能性を模索していく方針だ。

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