◎法務省は3日の声明で、建設現場の管理者の逮捕状を請求したと述べた。当局によると、管理者は業務上過失致死と文書偽造の罪に問われる可能性があるという。
2021年4月3日/台湾、花蓮県、脱線事故を起こした太魯閣(たろこ)急行列車(AP通信/ChiangYing-ying)

4月3日、台湾の検察当局は東部花蓮(かれん)県で発生した脱線事故の調査を開始すると述べた。

事故は現地時間2日午前9時30分頃に発生した。国家消防局によると、これまでに運転士を含む50人の死亡を確認し、178人が負傷したという。事故を起こした列車は首都台北市から台東市に向かっていた太魯閣(たろこ)急行列車。8両編成。494人が乗車していた。

台湾鉄路管理局によると、列車は事故現場近くの丘の上から線路に滑り落ちた整備用トラックに衝突し、脱線したという。衝突の衝撃で立っていた乗客は将棋倒しになった。

政府の災害救援センターは3日の声明で、「整備用トラックの緊急ブレーキは作動していなかった」と述べた。

花蓮県地方検察庁はトラックの運転手に話を聞いたと伝えられている。同検察庁のチョウ・ファンイ報道官は記者団に対し、「検察の職員は3日に遺体安置所を訪れ、犠牲者の遺体を確認しました」と述べた。

一方、法務省は3日の声明で、建設現場の管理者の逮捕状を請求したと述べた。当局によると、管理者は業務上過失致死と文書偽造の罪に問われる可能性があるという。

蔡 英文(さい えいぶん)総統の報道官は記者団に対し、「総統は犠牲者、負傷者、家族や友の帰りを待っていたすべての市民に哀悼の意を表しました」と述べた。「総統は事故現場の視察は救助と調査活動に支障をきたす可能性があるため、負傷者が入院している病院を訪れました。また、運輸安全委員会に独立した厳格な調査を指示しています」

事故は台湾や中国で墓掃除の日と呼ばれている「清明節(せいめいせつ)」の連休初日に発生した。列車には故郷に帰省する家族連れも多数乗車していたと伝えられている。

事故地点近くの駅

2021年4月3日/台湾、花蓮県、脱線事故を起こした太魯閣(たろこ)急行列車と当局の関係者(AP通信/ChiangYing-ying)

蔡英文(さいえいぶん)総統から調査を指示された林 佳龍(りん かりゅう)運輸相は、事故の調査と鉄道の復旧を急ぐと述べた。「事故を非常に重く受け止めています。責任は鉄道運航の長である私が負います」

3日午前、作業員たちは事故車両の7両目と8両目をまず撤去したが、トンネル内で停止した5両の撤去には時間がかかると伝えられている。

台湾鉄道行政ニュースグループのウェン・ホイピン氏はAP通信の取材に対し、「撤去作業は一週間以内に終わると思います」と述べた。「調査と同時に復旧も急ぐ必要があります。事故区間の封鎖に伴い、東海岸沿いを走る列車は残されたもうひとつのルートに集中するため、ダイヤに15分から20分の遅れが生じる可能性があります」

国家消防局によると、死亡した運転士は新婚だったという。政府の災害対応センターは、1948年に台北郊外で発生した列車の火災事故(64人が死亡)以来、最悪の鉄道災害になったと述べた。

台湾は北部の首都台北と西部の嘉義市や台中市周辺エリアに住宅が密集しており、人口の比較的少ない東部は観光地として人気を集めている。なお、観光客の多くは峻険な山道ではなく、沿岸部を走る列車もしくは道路を利用する。

台湾の鉄道システムは近年大幅に増強されており、首都台北と南部を結ぶ高速鉄道は利便性を大きく向上させた。

2021年4月3日/台湾、花蓮県、脱線事故を起こした太魯閣(たろこ)急行列車の撤去作業(AP通信/ChiangYing-ying)

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