◎リー・イーシャン氏(49歳)は記者団の前で「全ての犠牲者と関係者に謝罪します」と述べた。
2021年4月3日/台湾、花蓮県の病院、脱線事故で負傷した乗客を見舞う蔡英文総統(AP通信)

4月4日、台湾東部花蓮(かれん)県の脱線事故を引き起こしたトラックの所有者が公の場で謝罪した。

事故は現地時間2日午前9時30分頃に発生した。首都台北市から台東市に向かっていた太魯閣(たろこ)急行列車は、事故現場近くの丘の上から線路に滑り落ちた整備用トラックに正面衝突し、脱線した。

リー・イーシャン氏(49歳)は記者団の前で「全ての犠牲者と関係者に謝罪します」と述べた。

イーシャン氏のトラックは事故現場近くの丘の上に駐車されていたが、何らかの理由で斜面を滑り落ち、トンネルの入り口近くで急行列車と衝突した。

地元メディアによると、これまでに50人の死亡を確認し、200人以上が負傷したという。また、病院に入院した数十人のうち、3人は重体と伝えられている。

当局の調査官は記者団に対し、「先頭車両のCCTV映像を確認した結果、運転士が線路上のトラックを視認できたのは衝突のわずか6.9秒前でした」と述べた。「運転士はトラックを約250m手前で発見し、急ブレーキをかけました」

当局はイーシャン氏がトラックの緊急ブレーキを正しく使用していたかどうか、または、トラックに故障がなかったどうかを調査している。

イーシャン氏は2日に尋問を受け保釈された。しかし、同氏は以前に有罪判決を受けたことがあり、海外に逃亡する可能性があると判断されたため、4日の公開謝罪会見後、拘留されたという。

イーシャン氏は会見の中で、「当局の捜査に協力し、事故の責任は私が負います」と述べた。

イーシャン氏は、東部の山岳地帯の地滑りやその他のリスクを定期的にチェックするチームの一員と伝えられている。

法務省は3日の声明で、現場の管理者の逮捕状を請求したと述べていた。当局によると、イーシャン氏とその他の関係者は一緒に尋問を受けたという。地元メディアは、「関係者は業務上過失致死と文書偽造の罪に問われる可能性がある」と報じた。

事故は台湾や中国で墓掃除の日と呼ばれている「清明節(せいめいせつ)」の連休初日に発生し、乗客494人のうち、立っていた乗客は衝突の衝撃で将棋倒しになった。

AFP通信によると、ある生存者は家族を全員失ったという。

車両の撤去と調査を進めているチームは慎重に作業を行っている。地元メディアによると、車内には多くの遺体が残されている可能性があるという。

蔡 英文(さい えいぶん)総統から調査を指示された運輸安全委員会はAFP通信の取材に対し、「調査員たちは列車の記録装置(ブラックボックス)と先頭車両のCCTV映像を調べています」と述べた。「乗客の証言によると、彼らは汽笛を聞いた直後に吹き飛ばされたと述べています。乗客たちはトラックに気づいた運転士が汽笛を鳴らし、急ブレーキをかけたと信じています」

当局は列車の正確な乗車率や、当該区間に侵入防止用のバリケードがなかった理由などを問われている。現地を視察した林 佳龍(りん かりゅう)運輸相は記者団に対し、「責任は鉄道運航の長である私が負います」と述べた。しかし、政府は運輸相の辞任を受け入れず、調査が完了するまでその地位にとどまるべきと述べた。

2021年4月4日/台湾、花蓮県、事故車両の撤去作業は続いている(EPA通信)
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