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台湾・無差別襲撃事件、容疑者は単独犯、4人死亡、11人負傷

この事件では容疑者を含む4人が死亡、11人が負傷、うち2人が集中治療室で治療を受けている。動機についてはなお捜査中である。
2025年12月19日/台湾、首都台北、無差別襲撃事件が発生したデパート近くの通り(ロイター通信)

台湾・台北市中心部で12月19日に発生した無差別襲撃事件について、当局は20日、容疑者の男が単独で犯行に及んだと断定した。

この事件では容疑者を含む4人が死亡、11人が負傷、うち2人が集中治療室で治療を受けている。動機についてはなお捜査中である。

警察と地元当局によると、容疑者は27歳の張文(Chang Wen)、台湾北部の桃園市出身。発煙弾を投げて混乱を誘発した後、地下鉄台北駅周辺から近隣の商業地区にかけて刃物で無差別に通行人を切りつけた。容疑者はその後、警察の追跡中にデパートから転落、死亡した。

警察は20日、「現時点で共犯者は確認されておらず、容疑者は単独で事件を起こしたと考えている」と述べた。

事件は19日午後5時ごろ、台北駅付近で発生した。容疑者は最初に駅構内で発煙弾を複数投げ、混雑した駅構内や周辺道路に煙を充満させた。その後、刃物で通行人らを襲い、近くの地下鉄駅付近にある商業施設内や通路でも人々を切りつけたとされる。

地元メディアによると、警察は兵役を逃れた疑いで容疑者の逮捕状を発行。当局はこれを背景に容疑者が逃亡生活を続けていたことを明らかにした。

容疑者が犯行に使用した発煙弾はインターネットで入手した可能性があり、発煙弾投擲と刃物での襲撃を組み合わせた行為は計画的だったとの見方も出ている。

台湾でこのような凶悪事件は稀であり、国民に強い衝撃を与えている。頼清徳(Lai Ching-te)総統や台北市長は被害者支援を表明し、当局に警備の強化を指示した。市内の主要な公共交通機関や商業エリアでは警察のプレゼンスが高められ、市民や観光客の安全確保に重点が置かれている。特に年末年始の人出が予想されるイベントや歓楽街周辺では警備が一段と強化されている。

市民の間では犠牲者を悼む動きが広がっている。襲撃現場周辺には花束を持って訪れる人々の姿が見られ、SNS上でも「安全な社会を維持するための抜本的な対策が必要だ」との声が相次いでいる。

専門家は今回の事件が徴兵制度や社会の孤立、メンタルヘルスの問題など複合的な要因と関連している可能性を指摘。当局には対策強化と情報公開が求められている。

一方で中央政府は、犯行が単独・計画的であるとの現時点での結論を重視しつつ、国民の不安を抑えるため迅速かつ透明性の高い捜査を進めるとしている。

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