武装勢力が警察車両襲撃、5人殺害 パキスタン北西部
地元警察によると、複数人が警察車両に向けて銃を乱射し、5人の警察官がその場で死亡したという。
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パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州で23日、武装勢力とみられる襲撃者が警察車両を待ち伏せし、乗っていた警察官5人を殺害する事件が発生した。
事件は同日朝、警察が石油・ガス採掘地帯を巡回中に発生した。地元警察によると、複数人が警察車両に向けて銃を乱射し、5人の警察官がその場で死亡したという。襲撃後、犯行グループは車両にガソリンをかけて焼き払い、逃走したとされる。
当局は直後に大規模な捜索作戦を展開し、襲撃に関与したとみられる8人の容疑者を射殺したと発表した。これまでのところ責任を主張する声明は出ていない。当局は同国最大のイスラム過激派TTP(パキスタンのタリバン運動)が関与した可能性が高いとみている。TTPはアフガンのタリバン暫定政権とある程度の連携関係があるとされ、過去にも同地域で警察や軍への攻撃を繰り返してきた。
中央政府と同州政府はこの襲撃を強く非難し、「容疑者を必ず裁判にかける」との声明を発表するとともに、亡くなった警察官と遺族に哀悼の意を表した。政府は治安部隊の強化や追加の対テロ作戦を進める方針を示している。
パキスタン北西部ではここ数年、武装集団による攻撃が頻発している。今月初めにも同州北部の軍事拠点に対する自爆攻撃や銃撃があり、兵士や民間人が死亡する事件が起きているほか、警察施設や役人を狙った襲撃も報じられている。こうした暴力はパキスタン政府がアフガン側に拠点を置く過激派勢力への取り締まりを強化していることと関連しているとみられている。
パキスタン政府はアフガン国内に逃れたテロリスト集団が国境付近で活動していると非難してきたが、アフガン当局はこれを否定している。この対立は両国関係をさらに悪化させ、国境地帯での安全保障上の緊張を一層高めている。10月にはドローン攻撃を巡る対立が激化し、数十人の死者を出す国境を越えた衝突が発生した後、カタール仲介の停戦合意が結ばれたが、その後も緊張は続いている。
専門家は同州が石油・ガスの埋蔵地域として戦略的に重要であることや、地形が過激派による奇襲や待ち伏せに適していることから、治安当局にとって脅威の温床となっていると指摘している。また、治安部隊や地方住民に対する攻撃は、地域における治安回復の取り組みに深刻な影を落としている。
このように、北西パキスタンの治安情勢は依然不安定であり、政府は軍・警察・情報機関の連携を強化して暴力の根絶を図る一方、外交面でもアフガン側との協調を求める姿勢を強めている。治安部隊への攻撃は国民の不安を高めており、地域全体の安全保障体制の改善が急務となっている。
