◎タグボートはエバーギブン号の船尾を西岸の土手から102m話すことに成功した。
3月29日、スエズ運河のど真ん中で座礁したエバーギブン号の撤去作業を行っていたチームは、総重量20万トンの巨大貨物船を「部分的に再浮上」させることに成功した。
MarineTraffic.com.の衛星データによると、エバーギブン号の船首は東岸で固定されているが、船尾は西岸から離れていることが確認できた。
超高層ビルサイズのエバーギブン号は3月23日にアジアとヨーロッパを最短ルートで結ぶスエズ運河で立ち往生した。同船の所有者は愛媛県今治市に本拠を置く船舶リース会社の正栄汽船、運航者は台湾を拠点とする大手海運会社のエバーグリーンマリン社。運航管理会社はバーンハード・シャルト・シップマネジメント。建造は2018年、全長400m、幅59m、総重量約20万トン。一度に最大20,000個のコンテナを輸送できる。
海運の専門、ロイズリストのデータによると、スエズ運河西ルートを通過する商品の価値は1日あたり約5,600億円、東ルートは約5,000億円にのぼり、エジプト政府は1日あたり最大15億円の収入を失っているという。
運河の開通を待っている360隻以上の貨物船には原油や牛などありとあらゆる商品が積み込まれており、これまでに数十隻がアフリカ南端の喜望峰ルートを泣く泣く選択肢している。
運河サービスプロバイダーのレス・エージェンシーズはAP通信の取材に対し、「満潮、掘削、そして大型タグボートの奮闘により、エバーギブンは部分的に再浮上しました」と述べた。
ソーシャルメディアで広く共有されている動画には、エバーギブン号を西岸から引き離した大型タブボートが歓喜の汽笛を鳴らしている様子が映っていた。
スエズ運河庁のオサマ・ラベイ長官は記者団に対し、「エバーギブン号はタグボートによる押し引きに上手く反応し、部分的に再浮上しました」と述べた。長官によると、チームはエバーギブン号の船尾を西岸の土手から102m話すことに成功したという。
国際ベンチマークのブレンド石油価格はラベイ長官の声明後に約2%下落し、63ドル強に値を戻した。
地元メディアによると、タグボートは現地時間29日午前11時30分の満潮のタイミングに合わせて作業を再開する予定だという。ラペイ長官は、エバーギブン号を南(エジプト)のグレートビター湖まで牽引すると述べたが、完了予定日は明らかにしなかった。
船首周辺の砂を取り除く作業は一晩中続き、チームはこれまでに27,000トン以上の砂と泥を除去した。大型タグボートのカルロ・マグノ号は29日早朝に応援部隊として現場に到着した。
エバーギブン号を所有する正栄汽船は29日の声明で、「船のエンジンは機能しており、解放されれば正常に航海できる」と述べ、座礁による損傷の懸念を退けた。
エバーギブン号は中国からオランダのロッテルダムを目指していたが、今後の計画については不明。なお、正栄汽船とリース契約を結んでいるエバーグリーンマリン社と運航管理会社のバーンハード・シャルト・シップマネジメントはまだ声明を発表していない。