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フィリピン・セブ島沖でM6.9の地震、69人死亡、捜索・救助続く

地震は現地時間午後10時頃に発生。震源地はセブ島の北部沖、震源の深さは5キロ。
2025年9月30日/フィリピン、中部セブ市、地震発生を受け避難する人々(AP通信)

フィリピン中部セブ島の沖合で9月30日、マグニチュード6.9の地震が発生した。

フィリピン火山地震研究所によると、地震は現地時間午後10時頃に発生。震源地はセブ島の北部沖、震源の深さは5キロ。

地元メディアはセブ市などで家屋の倒壊が相次ぎ、これまでに子供を含む少なくとも69人が死亡、大勢が負傷したと伝えている。

被害の全容は明らかになっておらず、中央政府と関係自治体が調査している。

報道によると、郊外の山間部では土砂崩れや落石が発生。複数の集落で被害が確認されたという。

マルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr.)大統領は声明で、犠牲者に哀悼の意を表し、被災地に必要な支援と要員を投入すると表明した。

フィリピンは環太平洋火山帯に位置し、地震活動が極めて活発な地域である。特に注目すべきは多数存在する活断層であり、これらが国内の地震リスクを大きく左右している。フィリピン群島はユーラシアプレート、フィリピン海プレート、インド・オーストラリアプレートなど複数のプレートが交差する境界にあり、沈み込み帯や横ずれ断層が複雑に入り混じっている。そのため地震は日常的に観測され、大規模地震が周期的に発生している。

代表的な活断層の一つがルソン島を縦断するフィリピン断層系である。これは長さ約1200キロメートルに及ぶ横ずれ断層で、国内の主要な地震の多くに関与してきた。1976年モロ湾地震(M7.9)や1990年ルソン地震(M7.7)は甚大な被害をもたらし、後者では約1600人が死亡したと記録されている。また、フィリピン断層系の支線は複数の都市や人口密集地を通過しており、今後も破壊的な地震を引き起こす可能性が高い。

加えて、ウエストバレー断層もマニラ首都圏直下を走っている重要な活断層である。政府機関であるフィリピン火山地震研究所は、この断層がM7クラスの直下型地震を引き起こす可能性を警告しており、発生すれば数万人規模の犠牲者や大規模な社会的混乱を招くと予測されている。そのため、マニラ首都圏では防災訓練や耐震基準強化が進められているが、都市の高密度化やインフラの脆弱性を考えると依然として大きなリスクが残る。

さらに、フィリピン周辺の沈み込み帯、特にマリアナ海溝やフィリピントラフに沿った領域でも巨大地震や津波の可能性がある。1976年のモロ湾地震では津波により数千人が犠牲となったが、これは断層破壊と海底変動が複合的に作用した結果であった。このようにフィリピンの地震リスクは、内陸活断層と海溝型地震の双方から生じている。

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