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スリランカ、議会議員の年金制度を廃止、大統領の選挙公約

国会議員は5年の任期を満了すれば年金を受給できたが、新法はこれを撤廃し、現在年金を受け取っている者や受給資格のある者に対しても支給を停止する内容となっている。
2026年2月4日/スリランカ、首都コロンボ、独立記念日の式典(AP通信)

インド洋の島国スリランカの議会(一院制、定数225)は17日、議員に支給される年金を廃止する法案を賛成154ー反対2で可決し、議員年金制度を廃止した。この法案は2024年の大統領選を制した与党・人民解放戦線(NPP)のディサナヤケ(Anura Kumara Dissanayake)大統領の選挙公約の一つであり、長年の国民の不満に応える形となった。

国会議員は5年の任期を満了すれば年金を受給できたが、新法はこれを撤廃し、現在年金を受け取っている者や受給資格のある者に対しても支給を停止する内容となっている。法案を提出した法務相は議会で、国が深刻な経済危機から脱却しつつある中で、「議員が年金を受け取る道徳的権利はない」と述べ、改革の必要性を強調した。

この廃止はスリランカ国民の間に広がる政治家への不信感と怒りを背景にしている。スリランカは2022年に独立以来最悪の経済危機に見舞われ、食料や燃料、医薬品などが不足、全国で抗議デモが激化した。その後、デモ隊は大統領府や首相府を占領し、当時のラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領を辞任に追い込んだ。こうした経済的苦境の責任を政治家に求める国民の声が強まる中、年金制度廃止は象徴的な決断として受け止められている。

与党は昨年9月にも、元大統領に支給されていた住宅補助や手当、運転手付き車両、警備要員などの「特権」を廃止し、今回の年金廃止はその流れを受けたさらなる特権削減策と位置づけられる。これらの措置は、国民の批判をかわし政治改革を進める試みとして評価される一方、反対派は議員への社会保障が失われることへの懸念を示している。野党指導者は議員年金をなくすと退職後の生活保障がなくなり、汚職を助長しかねないと主張していた。

スリランカは2022年4月に債務不履行(デフォルト)を宣言し、当時の外貨建て債務残高は830億ドル(約12.8兆円)を超えた。これを受けて国際通貨基金(IMF)から2023年に29億ドルの支援を受け、債務再編を進める一方、燃料補助金の削減や税制改革などの緊縮財政を実施してきた。政府は債務再編を一応終えたとしつつ、さらに170億ドル規模の債務削減を求めている。

今回の議員年金廃止はスリランカ国民が政治家に対する信頼回復と責任ある政治への期待を示す象徴的な動きとして国内外の注目を集めている。しかし、実効性ある政治改革や経済再建を進めるには、抜本的な制度改革と持続的な成長戦略が求められている。改革が国民生活にどのような影響を与えるかは、今後の政策運営にかかっている。

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