◎議会は今週中に新大統領を選出する予定。
2022年7月14日/スリランカ、首都コロンボの大統領公邸、ハイタッチする女性(Rafiq Maqbool/AP通信)

スリランカウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領代行は18日、首都コロンボで抗議デモが再燃しつつあることを受け、非常事態を宣言した。

議会は今週中に新大統領を選出する予定だが、デモ隊はウィクラマシンハ氏にさっさと辞任するよう求めているとみられる。

非常事態宣言により、ウィクラマシンハ氏の権限は一時的に強化されるものの、地元メディアは暴力に発展する可能性はゼロに等しいと報じている。

非常事態宣言は公共の安全確保、治安維持、反乱、暴動、内乱を鎮圧するための権限を大統領に与える。また、ガソリンなどの必需品を維持するための法令も必要に応じて施行できる。

軍と警察は裁判所の許可を得ずに市民を拘束できるようになる。また必要に応じて資産を凍結することも可能。さらに、すべての法律を変更・停止できる。

前任のラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)氏は先週、軍用機で国外に逃亡し、モルディブを経由してシンガポールに渡ったと伝えられている。

議会はラジャパクサ氏の辞表を14日に受理し、ウィクラマシンハ氏を大統領代行に任命した。

アベイワデナ(Mahinda Abeywardana)議長は16日に議会を召集し、新大統領選出プロセスを開始した。候補は19日に判明する予定で、複数人の場合は20日に投票が行われる。

スリランカは現在、隣国インドの信用枠で何とか食いつないでいる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、債務不履行に陥った。

国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。

国民は調理用ガス、ガソリン、食料、その他日用品の入手に苦労しており、その影響は貧困層から中産階級に拡大。世界に衝撃を与えた。

スリランカは国際通貨基金(IMF)などに支援を求めているが、政府高官によると、IMFや近隣諸国は同国の貧弱な財政に懸念を表明しているという。救済交渉は難航しているとみられる。

経済危機は政変を引き起こし、ラジャパクサ政権は退陣を余儀なくされた。多くの閣僚は4月に辞任したが、ラジャパクサ氏は先週まで権力の座にしがみついていた。

デモ隊は首都コロンボの大統領府の広場を3カ月以上占領しており、数百人が泊まり込み抗議を続けている。

デモ隊はラジャパクサ一族が不正で財を成したと主張している。ラジャパクサ氏は不正疑惑を否定しているが、自身の政策が債務不履行を早めたことは認めている。

2022年7月14日/スリランカ、首都コロンボの国会前、休憩する陸軍兵士たち(Eranga Jayawardena/AP通信)
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