◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
スリランカ政府は31日、独立以来最悪の経済危機を乗り越えるために、米の作付面積を増やすよう農民に呼びかけた。
アマラウィーラ(Mahinda Amaraweera)農相は記者会見の中で、「我が国の食料事情は悪化している」と警告した。
スリランカは破産寸前の状態で、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを年内に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつき、債務不履行に陥っている。
国民は食料、調理用ガス、燃料、医薬品などの深刻な不足に悩まされている。コロンボの食料品店やガソリンスタンドには連日長蛇の列ができている。
一方、政府は同日、国際通貨基金(IMF)の融資と信頼を確保する一環として、食料や燃料の付加価値税(日本の消費税)を引き上げると発表した。
ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の政策のひとつである「無謀な減税」は対外債務の処理を困難にした要因のひとつである。
アマラウィーラ氏は記者団に対し、「食料事情が悪化しているのは明らかである」と語った。「政府は全国の農民に今後5日~10日間、田んぼに稲を植えるよう要請します...」
ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は以前、同国は8月までに深刻な食料不足に陥る可能性があると警告していた。
英フィナンシャル・タイムズ紙によると、同国は貧しい国に食料を提供している南アジア地域協力連合(SAARC)に支援を要請したという。
SAARCは南アジアの8カ国からなる援助グループである。最大の援助提供国はインドで、スリランカも加盟している。
IMFはスリランカ政府の努力に注目している。
政府は食料や燃料などに対する付加価値税(日本の消費税)を8%から12%に引き上げた。専門家によると、この増税で同国の税収は年間650億スリランカルピー(約230億円)増加する見込み。
また地元メディアは政府高官のコメントを引用し、「法人税は10月に24%から30%に引き上げられる」と報じている。
政府は今後8カ月の生活必需品購入に必要な40億ドルの融資をIMFなどに求めている。