◎スリランカは現在、隣国インドの信用枠40億ドルで何とか食いつないでいる。
スリランカのラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は6日、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領と電話会談を行い、過去最悪の経済危機に直面している同国に信用枠を提供してほしいと懇願した。
ラジャパクサ氏はツイッターに、「ロシアのプーチン大統領と非常に有意義な電話会談を行った」と投稿した。
ラジャパクサ氏はプーチン政権がスリランカに提供したすべての支援に感謝する一方、「現在の危機を克服するためには信用枠による燃料の輸入が不可欠」とした。
ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は以前、ロシアとマレーシア両国とも協議を進めていると明らかにしていたが、交渉は難航しているようだ。
スリランカは現在、隣国インドの信用枠40億ドルで何とか食いつないでいる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、債務不履行に陥った。
国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。
ロシア・ウクライナ戦争により世界の原油価格は急騰し、多くの国が西側の制裁の影響で値下がりしたロシア産原油を求めるようになった。
スリランカの経済危機は悲惨な燃料不足を招き、政府は学校を閉鎖し、残り少ない在庫の消費を抑えるため、基幹産業以外の労働者に在宅勤務を要請している。
しかし、人口の大多数を占める低中所得者層の多くがインフォーマルセクターで働いているため、在宅勤務などできない。日雇い労働者も同様である。また日雇い労働者の多くが原付や電動リキシャ(3輪車)で職場に通っている。
政府は石油公社が膨大な債務を抱えている影響により、「たとえ現金であってもスリランカに原油を輸入してくれる企業はない」と説明している。
ラジャパクサ氏はIMFとの救済協議が完了するまで対外債務の支払いを停止するとしている。しかし、ウィクラマシンハ首相は5日、「スリランカは破産国家であるため、IMFとの協議は難航している」と議会で演説した。
IMFは政府に持続可能な債務の返済計画を策定するよう求めている。
スリランカの対外債務は510億ドルで、2027年末までに280億ドルを処理しなければならない。
国民はこの数カ月、毎日調理用ガス、ガソリン、食料、その他の生活必需品を購入するために長い列を作っている。
一方、首都コロンボの大統領府周辺ではラジャパクサ氏の辞任と責任追及を求めるデモが2カ月以上続いている。5月のデモでは与党議員を含む少なくとも3人が死亡した。
スリランカの債務はラジャパクサ氏率いる前政権の「後先考えない無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、中国の「債務トラップ」の影響で膨れ上がり、債務不履行に陥った。