◎スリランカは今年、返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。
スリランカの国会で20日、大統領の権限を見直す憲法改正案の審議が始まった。
同国は今年、返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。
7月に失脚したラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)氏の後を継いウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領は、大統領の権限を制限し、議会の権限を強化すると約束している。
同国を大混乱に陥れた暴動は終息したものの、一部の活動家は大統領権限の速やかな見直しを要求する小規模なデモを行っているようだ。
デモ隊は透明性と説明責任を明確にする改革を求めている。
ウィクラマシンハ氏は国会で、「改正案は公務員の任命など、大統領の権限の一部を議会や憲法評議会に移譲する」と説明した。
またウィクラマシンハ氏は、「この改革案は司法と公共部門の独立性を確保するうえでも役立つ」と述べた。
与党が示した改革案によると、「大統領は裁判官、検事総長、中銀総裁、警察長官、選挙管理委員、その他の管理責任者を憲法評議会の推薦に基づき任命する」としている。
また閣僚人事は首相が決め、大統領は閣僚の地位に就くことはできないとした。
改正案は21日まで審議され、採決が行われる予定。憲法改正には3分の2以上の賛成が必要である。
ラジャパクサ氏は2019年の就任後、憲法を改正し、大統領府に権力を集中させた。
デモ参加者はラジャパクサ家の長年の失政と汚職がスリランカを破滅に導いたと非難している。
一部の活動家はラジャパクサ氏とつながりの深いウィクラマシンハ氏がラジャパクサ家を保護していると非難している。ウィクラマシンハ氏は議会投票で選出された。
スリランカは国際通貨基金(IMF)との救済協議が終わるまで、今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止するとしている。同国の債務総額は510億ドルを超えており、そのうち280億ドルは2027年までに返済しなければならない。