◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
スリランカ政府は14日、国際通貨基金(IMF)の緊急融資40億ドル(約5,000億円)を確保し、進行中の経済危機を緩和したうえで債務を処理したいと表明した。
スリランカの代表団は来週18日にIMFとの協議を開始し、交渉後1週間以内に資金を確保したいと考えている。
交渉を行うのは先日就任したばかりの財務相と中央銀行総裁。二人はIMFでの勤務経験を持つ。
財務相はブルームバーグのテレビインタビューの中で、「スリランカを軌道に乗せるためには、緊急の資金が必要だ」と訴えた。「今年必要な資金は30億~40億ドルと見積もっています。我々の願いはそれをできるだけ早く確保することです」
しかし、国内では政治的混乱が続き、ラジャパクサ兄弟(大統領と首相)の退陣を求める抗議デモは日に日に激しくなっている。
スリランカは今年90億ドル(約1.1兆円)近くの対外債務を処理する予定だが、外貨準備が不足した結果、政府は先日、債務の支払いを一時停止すると発表した。
財務相は、「私たちには専門知識があり、スリランカ経済を維持する適切な方法をIMFに提示するつもりだ」と述べ、交渉に自信をのぞかせた。
現在の中央銀行総裁は「IMF依存から抜け出す」と提案した前総裁の跡を継ぎ、IMFに再び融資を求めることに前向きだ。
しかし、親IMFの交渉チームでも、現在のスリランカの危機を乗り切るために必要な資金を調達することは至難の業と思われる。
スリランカが最後にIMFに頼ったのは2016年。この時の融資の上限は15億ドルで、13億ドル融資した時点でプログラムは終了した。その後、スリランカは経済成長率5%を達成し、特に観光業が顕著な伸びを見せた。
現在、観光業はコロナの影響で死んでいる。スリランカは最近、外貨準備が枯渇する中、中国やインドなどに支援を求め始めた。また、世界銀行やアジア開発銀行とも融資について協議していると伝えられている。
スリランカの高等弁務官事務所は今週、「駐インド高等弁務官がニューデリーで財務相と会談し、食料と燃料(輸入品)を確保するためのさらなる支援を求めた」と報告した。
インドはすでに食料、医薬品、その他の必需品を購入するための10億ドルの信用枠と、燃料輸入のための5億ドルを融資している。
格付け会社フィッチ・レーティングスは13日、同国の評価を引き下げ、「ソブリン・デフォルトが始まっている」と報告した。S&Pも同様の措置を取り、債務不履行を回避することは難しいという見解を示している。
ブルームバーグによると、シティグループのアナリストは、「スリランカ政府は投資家に債権の利払いの50%と元本の20%のヘアカットを受け入れるよう要求するかもしれない」と報告した。
これが現実になれば、債権保有者は本来受け取ることができる利息の50%しか手にできず、債権を売却しても80%しか手元に戻ってこない。
財務相はブルームバーグに、「もしあなたがスリランカの繁栄の一部で、スリランカからお金を得ていたのであれば、我々がうまくいっていないときには、ヘアカットを受け入れる必要がある」と語った。「それは、長い、長い議論になるでしょう」
IMFがお金を貸すかどうかはスリランカの再建計画が信頼できるものかどうかにかかっている。アナリストはタイムラインをしっかり定めることも重要と指摘している。
政府は支出を抑えるために公務員の新規雇用を停止するなどの措置を取っている。
財務相は政府の歳入を増やす方法(増税など)も検討中と強調した。
協議に先立ち、中央銀行は金利を引き上げ、自国通貨を切り下げ、政府は不要不急の輸入を制限している。またデモ隊から辞任を求められているラジャパクサ首相は先日、ありとあらゆる物資が不足し、インフレが加速する中、国民に「忍耐」を呼びかけ、非難の嵐に直面した。
IMFは先日の声明で、「スリランカの政治・経済の動向を注視している」と述べ、「国民、特に貧しい人々や弱い立場にある人々が被っている苦難を非常に懸念している」と表明した。
デモ隊はラジャパクサ兄弟の退陣を求めると同時に、ラジャパクサ兄弟が関与した不作為(無謀な減税を含む後先考えない政策や外貨を獲得できない事業への投資など)を厳しく非難し、責任の所在を明確にするよう求めている。