◎同国は今年、返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。
スリランカ政府は14日、歴史的な経済危機から抜け出す取り組みの一環として、税収を2倍以上に増やす計画を提案した。
同国は今年、返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。外貨が枯渇した結果、輸入食品・ガソリン・医薬品などの必需品が極端に不足している。
さらに、前政権が有機農業を推進するために化学肥料の輸入を禁じた結果、過去2シーズンの農作物の収穫高は半分以下に落ち込み、食料危機に拍車をかけた。
ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領は14日、国会で次年度予算の概要と税制改革案を説明し、「この窮状から抜け出すためには歳入を増やすしかない」と訴えた。
またウィクラマシンハ氏は減税の影響で2021年の税収が大幅に減少したことに触れ、「これを解消しなければ危機から抜け出すことは絶対にできない」と断言した。
ウィクラマシンハ氏は税制改革案について、「2023年以降の歳入を増やし、外貨を蓄え、負債を処理し、危機からの脱却を目指す」と説明した。
AP通信などによると、政府は増税により2023年の税収を3兆1000億スリランカルピー(約1兆1900億円)まで増やすと提案した。2021年の税収は1兆3000億ルピーであった。
所得税は2021年の3020億ルピーから9120億ルピーまで増やしたいとしている。
スリランカの経済は2019年の大幅な減税、コロナウイルスの拡大、ロシアのウクライナ侵攻によるインフレなどにより大幅に悪化した。経済の要である観光業はコロナの影響で大打撃を受け、回復に苦労している。
スリランカの外貨準備は約15億ドルにまで減少し、必要な量の食料・燃料を輸入できずにいる。消費者物価指数(CPI)はこの数カ月で90%を超えた。
同国の対外債務の総額は510億ドルを超え、そのうち280億ドルは2027年までに返済しなければならない。
経済崩壊は政治危機を引き起こし、今年7月には数千人の抗議者が大統領官邸を襲撃。ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は国外逃亡を余儀なくされ、その後辞任した。
ウィクラマシンハ政権は国際通貨基金(IMF)との救済交渉を続けている。また政府は債務再編についてインドおよび中国と交渉中である。
IMFはスリランカに持続可能な債務処理計画を提示するよう求めている。
2023年予算案と税制改革案は11月22日に採決される。