◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
スリランカの財務相は22日、医薬品やその他の生活必需品を購入する費用として世界銀行から今後4カ月間で3~6億ドル(約770億円)の融資を受けると明らかにした。
アリ・サブリ財務相は国際通貨基金(IMF)の支援を確保するためにワシントンD.C.に滞在している。
サブリ財務相はオンライン会見の中で、「IMFとの交渉には時間がかかるかもしれないが、世銀は支援を提供することに合意した」と述べた。
隣国のインドも燃料購入費として5億ドルを提供することに同意しており、追加融資についても協議中と伝えられている。インドはすでに10億ドルの融資枠を提供している。
スリランカは破産寸前の状態であり、総額250億ドルの対外債務のうち70億ドル近くを今年中に返済しなければならない。政府は輸入品の購入代金を支払えず、燃料、食料、その他様々な生活必需品が不足している。
ロシア・ウクライナ戦争も危機に拍車をかけ、ただでさえ不足している日用品の価格を吊り上げた。首都コロンボの住民は食料と調理用ガスを購入するために連日行列を作っている。
燃料価格もここ数カ月で何度も値上げされ、輸送コストが跳ね上がった結果、商品の価格を押し上げた。
政府はIMFとの協議が終わるまで対外債務の処理を停止すると発表している。
コロンボの大統領府周辺では連日抗議デモが開催されている。22日のデモに参加したある女性はAP通信の取材に対し、「ラジャパクサ、失せろ!」と吠えた。
デモ隊はラジャパクサ大統領とその兄弟であるラジャパクサ首相に辞任を要求している。抗議はコロンボから全国に拡大し、一部の地域では主要道路が封鎖されたと伝えられている。
警察は19日の取り締まり中にデモ隊に発砲し、市民1人が死亡、少なくとも13人が負傷した。この発砲は非難を集め、政府は公平な調査を行うと約束した。
ラジャパクサ兄弟は「無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」を推進することで債務を積み重ねたと非難されている。ラジャパクサ家の議員3人は閣僚を辞任している。
サブリ財務相によると、政府は中国、日本、アジア開発銀行にも支援を求めているという。
中国はすでに米5000トン、医薬品、3000万ドル相当の原材料を提供すると約束している。また、必需品を購入するための新たな融資についても協議中とのこと。
中国の融資で行われた採算の合わない無謀なプロジェクトも破産危機の要因のひとつである。