◎中銀は常設預金金利を14.50%、商業銀行に課す常設貸出金利を15.50%に引き上げるとした。
2022年7月5日/スリランカ、首都コロンボ(Eranga Jayawardena/AP通信)

スリランカの中央銀行は7日、同国の経済危機に拍車をかけているインフレを抑制するために、主要政策金利を1%引き上げると発表した。

中銀は常設預金金利を14.50%、商業銀行に課す常設貸出金利を15.50%に引き上げるとした。

ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は先月、「スリランカの経済は崩壊した」と宣言した。同国の6月消費者物価指数は前年同月比で55%近く上昇し、5月の40%を上回った。

ウィクラマシンハ氏は「インフレ率は70%まで上昇する可能性がある」と警告している。

今回の利上げでスリランカの政策金利は2001年以来最も高い水準となった。

中銀は4月に政策金利をほぼ2倍に引き上げ、エコノミストを驚かせた。フィッチ・ソリューションズ・カントリー・リスク・アンド・インダストリー・リサーチは年末までに常設預金金利を16.50%、常設貸出金利は17.50%まで引き上げられると予想している。

中銀のウィーラシンハ(Nandalal Weerasinghe)総裁は7日、「我々の優先事項は、できるだけ早く、少なくとも妥当な水準までインフレ率を引き下げることだ。早ければ早いほどよい」と語った。

米連邦準備制度理事会(FRB)を含む多くの中銀が、インフレを抑えるために政策金利を引き上げている。しかし、スリランカ中銀は他国とは全く異なる規模の問題に直面している。

スリランカ中銀の元副総裁でエコノミストのW.A.ウィジェワルダナ(W.A. Wijewardena)氏はAP通信の取材に対し、「中銀の決定を支持するが、現在のインフレ率を考えると弱すぎる」と指摘した。「インフレ率は今後2〜3ヶ月で80〜100%以上に達する可能性があります...」

地元メディアによると、国内の日用品価格はこの数カ月で約3倍に跳ね上げり、ほとんどの人が食料の確保に苦労している。

ユニセフは5月に行った調査で、「全国の家庭の約70%が食料の消費を控えている」と報告した。多くの家庭が政府の配給や慈善団体の寄付に頼っている。

中銀によると、同国の第1四半期GDPは前年同期比マイナス1.6%。第2四半期は燃料と電力不足の影響でマイナス成長が加速すると予想されている。

中銀は声明の中で、「経済はすでに減速しているが、今回の利上げはさらなる物価上昇を和らげ、インフレ率を目標の6〜7%に引き下げるのに役立つだろう」と述べている。

スリランカは現在、隣国インドの信用枠40億ドルで何とか食いつないでいる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、債務不履行に陥った。

国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。

首都コロンボを含む主要都市では計画停電も始まっている。

ウィクラマシンハ氏は今週、「スリランカは事実上破産しているため、IMF(国際通貨基金)との交渉は困難を極めるだろう」と警告した。

コロンボではラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の辞任と責任追及を求めるデモが2カ月以上続いている。

2022年5月28日/スリランカ、首都コロンボの大統領官邸近く、放水砲を浴びるデモ隊(Eranga Jayawardena/AP通信)
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