◎ディサナヤケ氏は55歳。左派のNPP党首であり、不公平を是正し、貧困層の負担軽減などを公約に掲げ、支持を集めた。
インド洋の島国スリランカの選挙管理委員会は22日夜、大統領選の集計結果を公表し、野党・人民解放戦線(NPP)のディサナヤケ(Anura Kumara Dissanayake)党首の当選を宣言した。
それによると、ディサナヤケ氏の得票率は42.31%、2位のプレマダーサ(Sajith Premadasa)氏は32.76%、現職のウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領は17.27%であった。
ディサナヤケ氏は55歳。左派のNPP党首であり、不公平を是正し、貧困層の負担軽減などを公約に掲げ、支持を集めた。
ウィクラマシンハ氏とプレマダーサ氏は敗北を認め、ディサナヤケ氏に祝意を表した。
スリランカは2年前、返済期限を迎える対外債務約70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。当時の負債総額は830億ドル超。そのうち415億ドルが対外債務、421億ドルが国内債務であった。
この危機は全国規模の抗議デモに発展。大統領府や首相府が占領される事態となり、当時のラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領を辞任に追い込んだ。
同国で国政選挙が行われるのは22年の破産宣言以来初。今回の選挙はウィクラマシンハ氏の経済改革の是非を問う信任投票とみなされていた。
1回目の集計で当選に必要な過半数に達した候補はいなかった。
選管はその後、上位2人に絞り込み、2位以下でその候補に投じられた票も加えて再集計を実施。その結果、ディサナヤケ氏がプレマダーサ氏を120万票あまり上回った。登録有権者は約1700万人。
同国の大統領選が再集計にもつれ込んだのは1948年の独立以来初めてであった
選管によると、ディサナヤケ氏は23日に主要都市コロンボで宣誓する予定。
一方、敗れたウィクラマシンハ氏は国際通貨基金(IMF)の支援を受けながら債務再編を進めてきた。
デフォルト時の国内債務と対外債務は総額830億ドルであったが、政府はこのうち、170億ドル以上を再編したとしている。
ウィクラマシンハ氏は2048年の独立100周年までにスリランカを先進国にするという野心的な目標を掲げて選挙戦に臨んだが、高い税金とインフレに悩まされる低中所得者層の支持は得られなかった。