◎スリランカは国債の利払いに苦労している。
スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ首相は11日、同国史上最悪の経済危機に対する国民の怒りが頂点に達する中、市内で抗議する数千人のデモ隊に「忍耐」を求めた。
スリランカの市民約2,200万人は1948年の独立以来最悪の景気後退に直面している。デモ隊はこの数週間の物価の高騰、燃料不足、停電の常態化、医薬品を含む日用品不足に抗議している。
またデモ隊はラジャパクサ首相と兄弟のゴタバヤ・ラジャパクサ大統領を含む不作為を放置した政府の解体を望んでいる。
スリランカの外貨準備は3月中頃時点で4億ドルを下回ったとされるが、対外債務は250億ドルを超え、今年中に70億ドル近くを処理しなければならない。
政府は昨年末、イランから購入した石油の代金を特産品の「茶葉」で返済したいと表明し、物議を醸した。
また政府は昨年6月、「100%有機産業プログラム」を開始し、農薬の使用を原則禁止した。その結果、農家の負担は激増し、品種によっては生産量が最大50%減少し、深刻な食糧不足を引き起こした。その後、政府は国際通貨基金(IMF)に支援を求め、数十万トンの米を輸入せざるを得なくなった。
デモ隊は今月初めから毎日首都コロンボやその他の都市でデモ行進を行い、「ラジャパクサ帰れ!」「ラジャパクサ去れ!」などと唱え、ラジャパクサ家の総辞職を求めている。
この20年間スリランカを率いてきたラジャパクサ家の家長マヒンダ首相は11日、危機以来初めてのテレビ演説で、「この国を救うためにはもっと時間が必要です」と訴えた。「私たちはできるだけ早く経済危機を解決するために働いています...」
「あなたたちが街頭で抗議するたびに、私たちはドルを稼ぐ機会を失っています。この重要な局面を乗り切るためには、皆さんの忍耐が必要なのです...」
ラジャパクサ家に対する圧力は確実に高まっており、国の経済を支えている主要な経済団体も先週末、支持を取り下げた。
マヒンダ首相は自分と大統領の退陣を求める声が高まっていることに言及しなかったが、野党が挙国一致内閣の発足を拒否したせいで政府は苦労していると主張した。「私たちは他のすべての政党に危機を乗り切ろうと訴えましたが、彼らは求めに応じませんでした。私たちはうまくやっています。しかし、コロナの影響で対外債務の処理に苦労していることは確かです」
野党とデモ隊は、ラジャパクサ兄弟が中国の融資で外貨を稼げない立派な港湾施設などを建設し、借金を増やしたことを非難している。また政府の歳入を激減させた「無謀な減税」や、債務の返済で外貨が不足しているにもかかわらずIMFへの支援要請が遅れたことなどにも抗議している。
首都コロンボの郊外で野営しているデモ隊の支持者たちは、飲料水、食料、お茶を準備し、救急隊と医療関係者は治安部隊が暴挙に出た場合に備え、現場周辺に待機している。
イスラム教徒の抗議者たちはラマダンの断食を取りやめ、他の抗議者と食料を共有した。
マヒンダ首相の盟友でさえ、暫定首相を任命するよう求めている。多くの与党議員も国民の怒りに配慮し、ラジャパクサ家に辞任を求めた。
多くの閣僚が抗議デモと治安の悪化を受け辞任した。マヒンダ首相は経済危機に対処する新財務相などを任命したが、多くの職責が空席のままである。
議会では40人近くの連立与党議員がマヒンダ首相の指示には従わないと宣言し、問題に対応する議案で合意が得られず、政府の弱体化が顕著になっている。
コロナの感染拡大に伴う規制や封鎖がスリランカ経済の柱である観光産業に大打撃を与えたことは事実だが、専門家は「進行中の経済危機の主な要因は政府の不作為、無謀な政策、借金、減税によるものである」と指摘している。
政府は今週、IMFと交渉を行う予定であり、地元メディアによると、財務省関係者は、「国債保有者や他の債権者はヘアカット(元本削減)しなければならないかもしれない」と述べたという。
ヘアカットは担保を設定する際、担保の損失リスクを予め明確にするため、債券の額面や株式の時価評価額などに対して設定される「担保価値の削減率」を指す。ヘアカットは格付けの低い債券ほど大きくなる。
例えば額面100万円の債券でヘアカット率20%の場合は、80万円分を担保価値として見なすことになる。一般に銀行が中央銀行から資金供給を受ける場合、国債などを担保として差し出すが、その際に10%のヘアカットが設定されていると、銀行は差し出した担保資産額の90%しか資金供給を受けることができない。
スリランカ政府はIMFに30億ドルの融資を求めている。