ASEAN特別外相会合、タイ・カンボジア国境紛争の停戦目指す
タイとカンボジアの紛争は12月8日に激化し、両国軍による重火器砲撃や空爆が国境地帯で行われている。
.jpg)
東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相らが12月22日、タイとカンボジアの国境紛争をめぐる特別会合のためにマレーシアのクアラルンプールに集結した。この会合は両国間で再燃している衝突を終結させ、地域の安定を回復することを目的としている。
タイとカンボジアの紛争は12月8日に激化し、両国軍による重火器砲撃や空爆が国境地帯で行われている。これまでに多数の死傷者が出ており、両国の市民数十万人が避難を余儀なくされている。衝突は長引く領土紛争に端を発し、連続する攻撃と反撃の応酬で深刻な事態となっている。
ASEAN加盟国の外相らは今回の特別会合で以前マレーシアが仲介し、米国の関与もあって署名された停戦合意を復活させることを目指している。この和平合意は10月に一時的に成立したものの、両国の不信感などから実効性を欠き、衝突再燃につながった。
マレーシアのアンワル(Anwar Ibrahim)首相はASEAN議長国としての立場から外交的な対話と冷静な対応を何度も呼びかけてきた。またアンワル氏は両国の首脳と個別に電話会談を行い、対話と相互尊重の精神に基づく紛争解決の必要性を強調している。
今回の会合には両国の外相も出席する見込みで、ASEANとして初めて対面で協議を行う機会になるとみられている。またASEANは米国および中国の協力も得つつ、広範な外交的支援を模索している。米国と中国の高官がそれぞれ緊張緩和を求める外交活動を進めており、国際社会全体での和平への圧力が高まっている。
ASEANの取り組みは単なる停戦の呼びかけにとどまらず、長期的な紛争解決の枠組みづくりを目指した試みでもある。今回の会合では戦闘行為の即時停止や重火器・地雷の撤去、民間人の安全確保、信頼醸成措置などが議論される見通しである。これらは地域全体の平和と安定を維持するうえで重要な要素と位置づけられている。
一方で、タイとカンボジアは互いに相手側による戦闘行為の再開を非難し続けており、依然として緊張が解消されていない。両国政府は自国の正当性を主張し、停戦条件などで妥協点を見いだせていないことから、ASEANの働きかけが成功するかどうかは不透明だ。
専門家は地域の主要な外交プラットフォームとしてASEANが一致団結して対応することが、紛争のさらなる拡大を防ぎ、地域の安定につながる鍵になると指摘している。今回の会合は東南アジアの外交協調のあり方を試す重要な機会になるだろう。
