◎ユン氏が弾劾されれば、憲法裁判所の判決が出るまで大統領の権限は剥奪され、首相が大統領代行を務めることになる。
2024年12月4日/韓国、首都ソウル、軍の兵士(AP通信)

韓国の最大政党「共に民主党」は4日、尹錫悦(Yoon Suk-yeol)大統領に辞任を要求し、応じない場合は不信任決議案を提出し、弾劾すると迫った。

ユン氏は3日夜、野党が来年度予算案に合意せず、国政を混乱させているなどとして、非常戒厳(戒厳令)を宣布した。

国民がドラマのような展開に困惑する中、軍兵士が首都ソウルの国会に登場すると緊張感が一気に高まり、多くの市民がユン氏に抗議するため、国会前に集結した。

ユン氏は戒厳令について、
▽国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなどの一切の政治活動を禁じる。

▽民主主義体制を否定し転覆を企てる一切の行為や偽情報による世論の操作、虚偽の扇動を禁じる。

▽すべての言論と出版は戒厳司令部の統制を受ける。

▽社会の混乱を助長するストライキやサボタージュ、集会行為を禁じる。

▽ストライキ中であったり、医療現場を離脱したりしたすべての医療関係者は、48時間以内に本業に復帰して忠実に勤務し、違反した時は戒厳法によって処罰する。

▽反国家勢力など、体制転覆勢力を除く一般市民は日常生活での不便を最小化できるようにするとした。

また違反者に対しては、戒厳司令官の特別措置権によって令状なしで逮捕、拘禁、家宅捜索し、戒厳法の罰則によって処罰するとした。

韓国KBSなどによると、ユン氏は野党の要求に対して公式に回答したという。

大統領府によると、ユン氏の上級顧問や秘書官たちが辞表を提出したため、ユン氏も4日の公務を延期したという。

ソウル市内では4日朝、観光客や市民が通りを歩き、工事現場も稼働。盾を持って周囲を警戒する機動隊以外は、12月の普通の晴れた寒い朝であった。

ユン氏は突然戒厳令を発令し、与野党議員の度肝を抜いた。しかし、戒厳令が有効だったのはわずか6時間ほどで、国会は全会一致でこれを覆し、ユン氏を「とんでもない男」と呼んだ。

戒厳令が正式に解除されたのは、閣議が開かれた午前4時30分頃だった。

リベラルな共に民主党は国会(一院制、定数300)の過半数を占めている。同党の議員団は4日、ユン氏に引退を勧告し、応じない場合は弾劾に踏み切ると警告した。

同党は声明で、「ユン大統領の戒厳令は明らかな憲法違反だ」と断じた。「あの男の戒厳令はもともと無効であり、重大な憲法違反であり、反逆行為であり、弾劾の完璧な根拠となる...」

弾劾には3分の2以上の賛成が必要。共に民主党の議席は192で、決議案の成立には他党の支持が必要である。

地元メディアによると、戒厳令を無効にする採決を行った際、ユン氏の政党「国民の力」の議員18人が決議案を支持したという。

進歩系野党「祖国革新党(12議席)」の党首は戒厳令を「違法」と批判した。

ユン氏が弾劾されれば、憲法裁判所の判決が出るまで大統領の権限は剥奪され、首相が大統領代行を務めることになる。

憲法裁は180日以内に弾劾が妥当か審理し、最終決定を下す。弾劾が確定すれば、ユン氏は正式に罷免され、60日以内に大統領選が行われることになる。

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