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韓国、ソウルの住宅ローン規制強化、投機抑制へ、住宅供給拡大

ソウルの住宅ローン規制は不動産価格の高騰と家計債務の急増を背景に、政府が段階的に強化してきた政策の一つである。
韓国、首都ソウルのマンション群(ロイター通信)

韓国政府は7日、首都ソウル圏内の住宅ローン規制を強化すると発表した。

政府は国営開発公社が保有する土地を活用し、従来計画を上回る手頃な価格の住宅を供給することで首都圏の住宅不足対策に乗り出す方針だ。

ソウルの住宅ローン規制は不動産価格の高騰と家計債務の急増を背景に、政府が段階的に強化してきた政策の一つである。特にソウル首都圏では住宅需要が集中し、価格上昇が社会問題化したため、融資規制を通じて投機抑制と金融安定を図ってきた。

中心となるのは「LTV(Loan to Value、担保認定比率)」と「DTI(Debt to Income、返済負担率)」である。

ソウルのような投機過熱地域では一般的にLTVは40%前後、DTIは40%程度に制限される場合が多い。つまり住宅価格が10億ウォンであっても、借入可能額は最大4億ウォン程度にとどまる。

さらに2018年以降は「DSR(Debt Service Ratio、総負債元利金返済比率)」も導入され、住宅ローンだけでなくカードローンや信販債務を含めた返済能力に基づいて融資を制限する仕組みが強化された。

また、高額住宅(通常は価格が9億ウォンを超える物件)に対しては、LTVをさらに引き下げる特例規制が適用される。加えて、多住宅保有者に対しては融資そのものを厳しく制限する措置が導入され、住宅ローン税制や取引税と併用することで投機需要を抑制する政策が進められてきた。

こうした規制は、住宅価格の上昇を抑える一方で、初めて住宅を購入する若年層や中間層の負担を増やし、いわゆる「住宅難民」問題を引き起こしている。

融資規制が厳しいため自己資金を十分に持たない層は市場参入が難しく、むしろ資産格差が広がる副作用も指摘されている。

近年は景気減速や住宅取引の冷え込みに伴い、政府は一部規制を緩和する動きも見せているが、依然としてソウルの住宅市場は需要過多と価格不安定性が続いており、規制と緩和のバランスが今後の政策課題となっている。

政府によると、江南(カンナム)や龍山(ヨンサン)などソウル市内の富裕層向け住宅地域におけるLTVは現行の50%から40%に引き下げられる。

政府は声明で「首都圏では住宅価格上昇への懸念が潜在的に残っているため、需要抑制と供給促進の両立を図るための特別措置が必要だ」と述べた。

また政府は住宅不足対策として、韓国土地住宅公社(LH)など国営企業の保有地を活用した開発を推進するとともに、アパートの解体再建に関する規制を簡素化する方針を示した。

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