▽ユン氏は拘束前に録画したビデオメッセージで「この国の法は完全に崩壊した」と嘆き、法執行機関同士による衝突を避けるため、不本意ではあるが拘束に応じたと述べた。
韓国の合同捜査本部が15日、拘束令状に基づき、尹錫悦(Yoon Suk-yeol)大統領を拘束した。現職大統領の拘束は初めて。
警察や高位公職者犯罪捜査庁などで構成される捜査本部は午前7時過ぎに首都ソウルの大統領公邸に入り、約3時間後、ユン氏の拘束令状を執行したと発表した。
合同捜査本部は昨年末、ユン氏が出頭要請を3度無視したとして、裁判所に内乱を主導した疑いで拘束令状を請求。裁判所はこれを承認した。
高位公職者犯罪捜査庁は1月3日、ユン氏の拘束を試みたが、大統領警護庁に阻まれ撤退。その後、捜査本部は拘束令状の期限延長を裁判所に求め、認められた。
ユン氏は拘束前に録画したビデオメッセージで「この国の法は完全に崩壊した」と嘆き、法執行機関同士による衝突を避けるため、不本意ではあるが拘束に応じたと述べた。
聯合ニュースによると、機動隊は公邸に入った後、警護庁とユン氏の拘束について再度協議し、警護庁側がユン氏の決定を受け、これに応じたという。
高位公職者犯罪捜査庁は内乱罪を捜査する権限がないため、2度目の執行は警察主導となった。
同庁によると、数百人の機動隊や警察官が公邸敷地に入ってから約3時間後、ユン氏は自ら護送車に乗り込んだという。
韓国KBSは関係者の話しとして、「警護庁側に目立った抵抗は見られず、淡々と協議に応じていた」と伝えている。
またKBSはユン氏に近い側近の話しとして、「ユン氏は前日までに出頭する意向を示していた」と報じた。
黒塗りのSUVが何台か、サイレンを鳴らして警察の護衛付きで大統領官邸を出て行くのが目撃された。ユン氏を乗せたとみられる車両はその後、高位公職者犯罪捜査庁の事務所に到着した。
聯合ニュースによると、捜査当局がユン氏の逮捕状を請求するかは不明。裁判所がそれを認めなかった場合、ユン氏は48時間後に釈放される。
最新の世論調査によると、ユン氏の政党「国民の力」の支持率はこの1週間で急上昇し、左派政党「共に民主党」に肉薄している。
国民の力の支持者はSNSでユン氏の拘束に抗議。一部の支持者は共に民主党を北朝鮮の工作部隊と呼ぶなど、分断を煽るコメントや動画を数えきれないほど投稿している。