◎教育に関する現行法は極端に保護者寄りで、学校を簡単に訴えることができる。
韓国の首都ソウルで16日、教師の権利を保護する法律の施行を求める集会が開かれ、2万人が参加した。
デモに参加した教師たちはわが子しか見ない「モンスターペアレント」の苦情で追い詰められ、今年7月に自殺した女性教師に哀悼の意を表し、政府に教師の生存権を保障するよう訴えた。
地元メディアによると、この女性教師は虐待を受けたとされる児童の保護者の苦情で精神的に追い詰められ、小学校内で自殺したという。
教師たちは数週間前から法律の改正を求めて抗議デモを続けている。それによると、教育に関する現行法は極端に保護者寄りで、学校を簡単に訴えることができるという。
一部のモンスターペアレントは教師が児童を精神的に虐待していると主張し、連日苦情の電話をかけたり、控訴すると脅したりしているようだ。
ソウルの国会は現在、「児童虐待疑惑の訴えを退ける」という教師たちの要求の一部を満たす法案を審議している。
しかし、一部の専門家は過当競争の中で何年も苦労してきた子供たちの権利が弱体化する可能性があるとして、法案に懸念を示している。
韓国ではエリート大学を卒業することが重要視され、キャリアや結婚にも大きな影響を与える。
教育省の統計によると、2018~22年の間に自殺した小中高生は約820人。大学生と浪人生を含めると数千人に達するとみられる。
ソウルの国会近くに集まったデモ隊は「保護者の精神的虐待の訴えから教師を保護せよ」と書かれた横断幕などを掲げて抗議した。
デモを主催する団体によると、過去8年間で9000人以上の教師がモンスターペアレントから嫌がらせや脅迫を受けたという。
AP通信の取材に応じた男性教師は「今国会で議論されている法案が1日も早く可決され、教師の生存権が保障されることを願っている」と語った。
ソウル警察によると、集会には約2万人が参加したという。
教師たちの怒りが高まる中、尹錫悦(Yoon Suk-yeol)大統領は今月初め、教師の意見を反映させた新しい教育関連法を検討する専門家委員会を立ち上げた。
教育省と法務省は共同声明の中で、「旧政権が子供の人権を過度に重視する政策を採用し、それが一部の保護者による精神的嫌がらせや不当な児童虐待の報告の増加につながった」と非難した。