◎ストの影響は国内産業に限られ、半導体などの主要輸出品に遅れは出ていない模様。
韓国のトラック労働組合は9日、ストライキを維持するか否かを決める投票を行い、スト終了を宣言した。
燃料価格の高騰などに抗議するストは先月24日にスタートし、国内産業に大打撃を与えた。
政府は先週、運転手に職場復帰を命じる行政命令を出したが、その後もストは続き、各地で混乱が続いていた。
9日の投票には貨物トラック組合の組合員2万6000人のうち約3600人が出席し、そのうち約62%がスト終了と職場復帰に賛成票を投じた。
同組合は2022年末に期限切れとなる最低運賃制度の恒久化を政府に求めており、今後も闘いを続けると声明を発表した。
政府は先週、生コンを輸送するトラック運転手約2500人に職場復帰命令を出し、今週その対象を鉄鋼と石油化学製品を輸送する運転手約1万人に拡大した。
地元メディアは関係者の話を引用し、「多くの組合員がストの勢いが弱まったことと、家計への負担を考慮し、スト終了を支持した」と報じている。
国土交通省によると、コンテナの輸送量と建設現場のセメント配送量は9日午前の時点でスト前の水準を上回ったという。
ストの影響は国内産業に限られ、半導体などの主要輸出品に遅れは出ていない模様。
現在の最低運賃は輸送用コンテナと生コンに適用されているが、労組はその範囲を他の貨物にも拡大するよう求めている。地元メディアによると、労組は政府との交渉で石油、鉄鋼、自動車、宅配便トラックなどもこれに含めるよう求めたという。
政府は制度の3年延長を提案したが、最低運賃の適用範囲を広げるという労組の要求には難色を示した。
今回政府が出した行政命令は2004年に改正された法律に基き、職場復帰を強制できる。政府がこれを行使したのは今回が初めて。
正当な理由なく従わなかった場合、3年以下の懲役または罰金3000万ウォン(約310万円)を科される可能性がある。
この法律は何がストに当たるかを明確に定めておらず、その気になればあらゆるストを阻止できる。
政府報道官は先週、「半導体や自動車などの輸出産業に影響を及ぼす可能性が高まったため、政令は避けられない」と述べていた。
尹淑烈(Yoon Suk Yeol)大統領は関係閣僚に対し、法に基づいてストに対応するよう求め、政府機関と警察はトラック運転手が命令を守っているか監視するチームを結成した。