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韓国政府、石炭と原子力発電の稼働率引き上げへ、中東危機受け


韓国はエネルギーの大部分を輸入で賄い、原油の約70%、液化天然ガス(LNG)の20%を中東地域から調達している。
韓国、首都ソウルの夜景(Getty Images)

韓国政府は中東情勢の緊迫化によるエネルギー供給不安に対応するため、石炭火力発電の制限を解除し、原子力発電の稼働率を引き上げる方針を示した。与党「共に民主党」が16日、党内の中東危機経済対策タスクフォースの会合で明らかにしたもので、電力供給の安定とエネルギー価格の抑制を狙う措置である。

今回の措置は米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに中東情勢が悪化し、ホルムズ海峡周辺での緊張が高まっていることが背景にある。原油や天然ガスの輸送が滞る可能性が指摘されており、エネルギー輸入への依存度が高い韓国では供給不足や価格高騰への懸念が強まっている。

韓国はエネルギーの大部分を輸入で賄い、原油の約70%、液化天然ガス(LNG)の20%を中東地域から調達している。ホルムズ海峡の情勢が悪化すれば輸送が滞り、国内の電力供給や産業活動に大きな影響が出る可能性がある。政府はこうした事態に備え、発電構成の見直しを急いでいる。

具体的には、石炭火力発電の出力を設備容量の80%までに抑えていた制限を解除し、必要に応じて発電量を増やす。また、原子力発電所の稼働率を現在の60%台後半から最大80%程度まで引き上げる計画で、定期点検中の原子炉6基の整備を前倒しで完了させる方針だ。これにより、LNGを燃料とする発電への依存を減らし、燃料供給の不安定化に備える。

政府はすでに国内の燃料価格対策にも着手している。ガソリン価格の上限を1リットル=1724ウォンに設定する措置を導入し、2週間ごとに国際原油価格の動向を反映して調整する仕組みを設けた。導入後、ガソリンとディーゼルの価格はそれぞれ数十ウォン程度下落したという。

さらに政府と与党は今月末までに追加の補正予算案をまとめ、国会に提出することで合意した。補正予算には燃料価格上限措置で損失を受ける石油各社への補償、低所得層向け支援、物流費の上昇に直面する企業への支援などが盛り込まれる見通しである。また再生可能エネルギーへの投資拡大も含まれる予定だ。

与党指導部は補正予算案が国会に提出されれば10日以内に可決させる方針を示しており、迅速な経済対策を強調している。中東情勢の長期化が懸念される中、エネルギー供給と物価の安定を同時に図ることが政府の重要課題となっている。

イランをめぐる軍事衝突は世界のエネルギー市場に深刻な影響を及ぼし、各国が燃料価格の高騰や供給不安への対応を急いでいる。韓国の今回の措置は、こうした国際的なエネルギー危機への対策の一環と位置付けられている。

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