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韓国大統領、北朝鮮に対話再開を呼びかける

北は直近の党大会で韓国との対話再開の可能性について否定的な姿勢を示しながらも、米国との関係については条件付きで対話の余地を残している。
韓国のイ・ジェミョン大統領(ロイター通信)

韓国のイ・ジェミョン(Lee Jae-myung)大統領は3月1日、北朝鮮に対し、対話の再開を強く呼びかけた。イ氏はこの日、首都ソウルのCOEX展示センターで開催された「三・一独立運動」107周年記念式典で演説し、朝鮮半島の平和と安定のために北側ができるだけ早く交渉のテーブルに戻るべきだとの見解を示した。

イ氏は「北朝鮮が現在、新たな5カ年計画を策定・実行していることを踏まえ、できるだけ早く交渉の席に戻り、共に新しい未来を形作ることを望む」と述べた。また、対立は双方の利益にならず、信頼に基づく共存と協力の道を追求すべきだと強調した。

式典では、韓国政府が北の体制を尊重し、吸収統一や敵対行為を追求しないとの立場も改めて示された。イ氏は演説の中で、「我々は北の政治体制を尊重し、いかなる敵対行為にも関与せず、吸収による統一も追求しない」と述べ、平和的なアプローチを重視する姿勢を強調した。

さらに、ドローンの北侵問題についても言及し、再発防止に向けた制度的な対策を講じる方針を示した。過去に民間人が複数回にわたりドローンを北に飛ばした事件を「朝鮮半島の平和に対する重大な脅威」と位置づけ、徹底的な真相究明と再発防止策の実施を約束した。

イ氏はまた、米国や日本などの近隣諸国と協調して、北と米国間の対話再開を促進する意向を示した。「我々は”ペースメーカー”として米国や周辺国と連携し、できるだけ早く米朝間の対話が再開されるよう努力する」と述べ、韓国が外交調整役を果たす姿勢を打ち出した。

北は直近の党大会で韓国との対話再開の可能性について否定的な姿勢を示しながらも、米国との関係については条件付きで対話の余地を残している。これを受け、韓国側では対話の再開が完全に閉ざされているわけではないとみる向きもある。

今回の呼びかけは、イ政権が就任後一貫して対北関係の緊張緩和と平和構築を掲げてきた政策の一環だ。対話再開を求める意図には、軍事的緊張の高まりを抑え、地域の安定を図る狙いがある。しかし、北は前向きな姿勢を示しておらず、対話の実現には依然として困難が残るとの見方も根強い。

韓国国内ではこの日の記念式典を通じて、過去の独立運動の精神を踏まえつつ、未来志向の隣国関係の構築を訴える声が強調された。イ氏は日韓関係や中国との協力強化についても言及し、北との対話再開は同時に東アジア地域全体の安定に寄与すると訴えた。

韓国政府は今後も北に対して対話の扉を開いたまま、米国などの関係国と協調し、朝鮮半島における恒久的な平和体制の構築を目指す姿勢を維持していく方針である。

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