韓国消費者院、SKテレコムにハッキング被害者への補償命じる
このハッキング事件は今年4月に発覚し、SKテレコムの加入者管理システムが不正アクセスを受けたことで、同社の約2300万人に上るユーザーの個人情報が外部に流出した。
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韓国消費者院は21日、今年発生した大規模ハッキング事件をめぐり、通信大手SKテレコムに対し、データ流出被害を受けた消費者への補償を命じる方針であると明らかにした。対象となるのは集団訴訟を起こした58人の利用者で、それぞれに10万ウォン(約1万600円)相当のポイントや携帯料金割引での補償を提供するよう命じる予定だ。
今回の命令は同消費者院の消費者紛争処理委員会が12月18日の会合で合意したもので、SKテレコム側に正式な通知が送付される予定。会社は通知を受け取ってから15日以内に受諾の意思を示すかどうかを回答しなければならない。
このハッキング事件は今年4月に発覚し、SKテレコムの加入者管理システムが不正アクセスを受けたことで、同社の約2300万人に上るユーザーの個人情報が外部に流出した。流出した情報にはSIMカード関連の情報や識別番号などが含まれていたとされ、個人情報保護上の深刻な懸念が広がった。
流出を受けてSKテレコムは全利用者を対象に無償でUSIMカードの交換対応を進めるなどの対策を講じたが、利用者らの不安は拭いきれなかった。これに対して消費者側は5月に集団紛争調停を申請し、正式な補償を求める動きを強めていた。
また、8月には個人情報保護委員会が同社に対して約134億ウォンの過去最大規模となる罰金を科す処分を下しており、政府と規制当局による責任追及が続いている。
消費者院が今回示した補償は1人当たり10万ウォンのうち月額利用料の割引として5万ウォン、残り5万ウォンを現金同等のポイントとして付与する形になるという。SKテレコム側がこの調停結果を受け入れた場合、同様の補償がハッキング被害を受けた全ての利用者に適用される可能性があると消費者院は説明している。これが実現すれば補償総額は約2兆3000億ウォン(約2449億円) に達する見込みだ。
この額はSKテレコムの2024年の純利益や売上高と比較しても大きな規模であり、同社の財務状況に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
SKテレコムは声明で、今回の消費者院の判断について慎重に検討するとしており、具体的対応については今後報告するとしている。顧客の信頼回復と再発防止に向けた取り組みは継続するとしているが、補償の受け入れ可否と全被害者への拡大適用については不透明な部分も残る。
韓国では個人情報保護やサイバーセキュリティに対する社会的関心が高まっており、今回のような大規模データ流出事件への企業責任を巡る動きは消費者保護のあり方を再検討する契機となっている。政府や規制当局も企業側の情報管理体制の強化を求めており、今回の命令は通信事業者全体に波及する可能性がある。
