◎ソロモン諸島と中国が先月締結した安全保障協定は太平洋諸国と米国に衝撃を与えた。
2021年11月26日/ソロモン諸島、首都ホニアラのチャイナタウン(Getty-Images/AFP通信)

ソロモン諸島の駐オーストラリア特使は3日、ソロモン諸島に派遣される中国警察は現地当局の管理下に置かれるため、香港などの都市で見られる中国当局の強引な取り締まりはできないという認識を示した。

ロバート・シシロ駐豪ソロモン諸島高等弁務官はオーストラリア放送協会(ABC)のインタビューの中で、「香港などの都市で見られる取り締まりをさせないようにする」と語った。

ソロモン諸島と中国が先月締結した安全保障協定は太平洋諸国と米国に衝撃を与えた。

両国は協定の最終版を公表していないが、先月末にリークされた協定の草案によると、中国は「社会秩序を維持するために、ソロモン諸島の要請に基づき、中国軍(警察含む)の派遣を認める」としている。

また相手国の書面による同意がない限り、どちらも任務を公にすることを許されない。

シシロ氏はABCに、「中国の警察はソロモン諸島に到着次第、現地警察の指揮下に入る」と説明した。

この協定は、ソロモン諸島とAUSの安全保障条約によく似ている。AUSは昨年11月にソロモン諸島のガダルカナル島で暴動が発生した際、同諸島政府の要請を受け、治安要員を派遣した。

シシロ氏はインタビューの中で、「わが国の首相は支援先を多様化しようとしており、オーストラリアや他の国々が支援を提供するのと同様に、中国に支援を求める」と述べている。

南太平洋の主要国と米国は、インド太平洋地域で影響力を拡大している中国がこの地域に軍事基地を建設する可能性があることに深刻な懸念を表明している。

米国務省は安全保障協定の情報が流れた際、「協定の広範な内容はソロモン諸島に中国軍が展開されることを意味する」と述べていた。

AUSの野党は中国に不意を突かれたモリソン政権を厳しく批判している。モリソン首相はソロモン諸島と中国の関係が深まっていることを数年前から把握していたとされるが、うまく立ち回ることができなかった。

ソロモン諸島は2019年に台湾との国交を断絶している。

ソガバレ首相は、中国が島内に基地を建設することはないとしている。一方、シシロ氏はABCに、「中国がインフラプロジェクトに投資し、影響力を強め、基地建設を認めるよう圧力をかける可能性があるため、警戒している」と語った。

シシロ氏は2017年に巨額の融資を不履行とし、港湾インフラを中国に引き渡さざるを得なくなったスリランカのような事態には陥りたくないと考えているのかもしれない。

スリランカは中国の「債務トラップ」に引っ掛かり、借金を積み重ね、破産寸前の状態である。

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