スカイダイバーのパラシュートが飛行機の尾翼に引っかかる オーストラリア
撮影者が扉付近で映像を撮ろうとしていたところ、被害者が飛行機から出ようとした際、予備パラシュートのリップコード(予備パラシュートを展開させる紐)が翼部分のフラップに引っかかり、予期せぬ展開が起きた。
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オーストラリア北東部クイーンズランド州の空港発着のスカイダイビング飛行で、パラシュートが飛行機の尾翼に引っかかる異常事態が発生し、約1万5000フィート(約4500メートル)地点でスカイダイバーが宙づりになった。運輸安全局(ATSB)が12日、公表した映像と報告で明らかにした。
事故は9月20日に発生。飛行機には16人のスカイダイバーとカメラ撮影担当者、パイロットが搭乗しており、16人による編隊ジャンプのため所定の高度に到達した後に事件は始まった。
撮影者が扉付近で映像を撮ろうとしていたところ、被害者が飛行機から出ようとした際、予備パラシュートのリップコード(予備パラシュートを展開させる紐)が翼部分のフラップに引っかかり、予期せぬ展開が起きた。これにより予備パラシュートが開き、被害者は後方に吹き飛ばされた。
近くにいたカメラ担当者もその反動で機外へ飛ばされ、自由落下を余儀なくされた。被害者は尾翼の水平安定板に脚部を激しくぶつけられた後、パラシュートが絡みついた状態で宙づりになった。
極めて危険な状況となったが、被害者は装備していたナイフを用い、絡まった予備パラシュートの11本のラインを切断し落下。その後、メインパラシュートを展開させて無事に降下し、脚の負傷だけで済んだ。メインパラシュートは絡みついた予備パラシュートの一部とともに展開したが、最終的には正常に機能したという。
この間、他のスカイダイバーの多くは既にジャンプを完了していた。機内にはパイロットと2人のスカイダイバーだけが残り、操縦不能に近い状態の飛行機をコントロールしようと試みた。尾翼にパラシュートの一部が絡んだため機体の操縦性は大きく損なわれたが、パイロットは状況を把握すると管制にメーデー(遭難信号)を発信。ブリスベンの管制当局は操縦継続が可能と判断し、パイロットは緊急脱出を準備しつつも機体を安定させて無事着陸した。
ATSBの長官は声明で、今回の事案を受けて「規則上の必須装備ではないが、フックナイフの携行が予備パラシュートの誤展開や異常時に命を救う可能性がある」と指摘、安全性向上の必要性を強調している。今回の事故では他に負傷者は出なかったが、航空安全面での教訓として国際的にも注目される出来事となった。
