シンガポールの電子タバコ取り締まり、国を挙げて規制強化
電子タバコは輸入・販売・使用が全面的に禁止され、見つかった場合には罰金や拘禁、強制的な更生プログラムの対象となる。
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シンガポール政府が電子タバコ(ベイプ)に対する取り締まりを大幅に強化している。電子タバコは2018年から同国で禁止されているが、近年では薬物成分を混ぜた違法タバコ「K-pods」が若者の間で広まり、深刻な健康被害や社会問題を引き起こしているとして、政府は罰則を強化し市民からの通報を促すためのホットラインを設置した。報道によると、設置後9週間で約2600件の通報が寄せられたという。
電子タバコは輸入・販売・使用が全面的に禁止され、見つかった場合には罰金や拘禁、強制的な更生プログラムの対象となる。取り締まりは空港や国境検問所、公共空間や学校などで行われ、市民への周知活動も強化されている。特にマレーシア国境の検問所では当局が車両の積荷を詳細に検査し、隠されたタバコ製品を発見するケースが増えている。
政府は薬物成分入りタバコを「薬物乱用の入り口」と見なし、一般的な健康リスクを超える危険性を指摘している。この種のタバコには麻酔薬エトミデートなどの薬物が混入され、摂取後に意識喪失や錯乱状態になる事例が報告されている。これを受けて、2025年9月1日付でエトミデートを薬物規制法のクラスC薬物に再分類するなど、法的枠組みの見直しが進んだ。
罰則も段階的に強化されている。初回の違反では成人で700シンガポールドル(約8.5万円)程度の罰金が科され、未成年者にも相応の罰金が適用される。再犯者には強制的なリハビリテーションが義務付けられ、3度目の違反では刑事訴追の対象となる可能性がある。また、違法薬物入りタバコの販売や流通に関与した者には最大20年の禁錮刑や最大15回の鞭打ちといった厳しい刑罰が科される見込みだ。外国人に対しては、罰金や刑事処罰に加えて滞在許可の取り消し、国外退去や再入国禁止措置が取られることもある。
政府はこの取り締まりを単なる法執行だけではなく、社会全体で違法タバコへの警戒を高めるための取り組みと位置付けている。通報ホットラインや公共広告キャンペーンを通じて、危険性の啓発や市民の協力を促しているほか、電子タバコの自発的廃棄を促す「タバコ回収箱」も各地に設置している。
これまでの取り締まり成果として、警察と保健当局は違法タバコの押収数が減少傾向にあると報告している。一部の報告では薬物混入タバコの割合が全押収品の1割未満に減少したとの統計もある。一方で取り締まりの厳しさに対する意見は分かれており、オンライン上では制限が行き過ぎていると批判する声もある。中には「個人の選択の自由を不当に制限している」と訴える人もいるが、多くの市民は従来からの厳格な薬物政策を支持し、今回の強化策にも理解を示しているという。
シンガポール政府は電子タバコを含む違法薬物の使用や流通が若年層へ広がることを防ぎ、国民の健康と安全を守るため、今後も取り締まりと啓発活動を継続する方針だ。
