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インドネシア・東ジャワ州で寄宿学校倒壊、3人死亡、数十人行方不明

事故は東ジャワ州シドアルジョのイスラム寄宿学校で29日午後に発生。100人以上の生徒が午後の礼拝に集まろうとしていた時に建物の一部が倒壊した。
2025年9月29日/インドネシア、東ジャワ州、倒壊したイスラム寄宿学校と救助隊員(Getty Images/AFP通信)

インドネシア・東ジャワ州のイスラム寄宿学校が倒壊し、数十人の生徒が瓦礫の下敷きになったとみられる。

国家災害対策庁は9月30日、これまでに3人の生徒が死亡、77人が病院に搬送されたと明らかにした。

事故は東ジャワ州シドアルジョのイスラム寄宿学校で29日午後に発生。100人以上の生徒が午後の礼拝に集まろうとしていた時に建物の一部が倒壊した。

国家災害対策庁は声明で、数十人が瓦礫の下に閉じ込められている可能性があると説明した。

地元テレビ局は関係者の話しとして、「少なくとも38人の生徒・職員と連絡が取れていない」と報じた。

閉じ込められた生徒の大半が10代の男子と伝えられている。

当局によると、事故発生当時、建物では工事が行われていた。建設作業員がコンクリートを打設中に建物の基礎柱が崩れたとのこと。地元メディアは学校が必要な許可を取らずに増築工事を行っていたと伝えている。

国家災害対策庁はX(旧ツイッター)にも声明を投稿。「この事故は建築安全基準の遵守が重要であることを浮き彫りにした」と指摘した。

地元メディアによると、この建物は3階建てで、4階を増築し、平らな屋根にする予定であった。

インドネシアにおける建築基準は主に2002年に制定された「建築法」およびその後の関連規則によって規定されている。この法律は安全性、機能性、秩序、環境調和、美観を確保することを目的としており、すべての建築物に対して建築許可(IMB、2021年以降はPBG)を取得することを義務付けている。

違法建造物とは、こうした建築許可を取得せずに建てられた建物、または許可された内容と異なる構造・用途で建設された建物を指す。また、都市計画やゾーニング規則に違反している場合も違法とされる。例えば、住宅専用地域における商業施設の建設や、高層制限を超える建物などが典型的な違法建造物に該当する。

違法建造物が多く存在する背景には、都市化の急進展、行政手続きの煩雑さ、監視体制の不十分さ、そして汚職の蔓延がある。特に首都ジャカルタやスラバヤなどでは、低所得層によるスラムの形成や、開発業者による無許可の商業開発が見られ、こうした建物は災害リスクや環境破壊、公共サービスへの負担といった問題を引き起こしている。

違法建造物に対する取り締まりは自治体レベルで行われており、建築監督官が現場確認を行い、違反があれば是正命令や建物の解体命令が出される。ただし、行政の執行力には限界があり、裁判を通じて解決が図られるケースもある。特に、権利関係が複雑な土地や、政治的な支援を受けた開発業者に対しては法的対応が困難な場合が多い。

2021年には「オムニバス法」の成立により、建築関連の規制も簡素化され、IMB制度は廃止されてPBG制度へと移行した。この制度では、建築許可よりも建築計画の「合意」に重きが置かれており、行政手続きの迅速化が図られている。ただし、実施段階では地方自治体の理解不足や運用体制の遅れが指摘されており、違法建築の抑止には直結していない。

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