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韓国サムスン電子、26年第1四半期利益6兆円、過去最高、AI特需


営業利益は約57兆2000億ウォン(約6兆円)に達する見込みで、前年同期の6兆6900億ウォンから大幅に増加した。
韓国の電機大手サムスン電子のスマートフォン(ロイター通信)

韓国の電機大手サムスン電子は7日、2026年第1四半期(1〜3月)の営業利益が前年同期比で8倍超に急増する見通しだと発表した。人工知能(AI)向け半導体需要の急拡大により、メモリーチップ価格が大幅に上昇したことが主因であり、同社の業績は過去最高水準に達した。

発表によると、営業利益は約57兆2000億ウォン(約6兆円)に達する見込みで、前年同期の6兆6900億ウォンから大幅に増加した。これは市場予想を大きく上回る水準で、四半期の利益も大きく更新する結果となった。また売上高も約68%増の133兆ウォン(約14兆円)に拡大し、収益・売上ともに急成長を示した。

この急伸の背景には、AIデータセンター向け需要の爆発的増加がある。生成AIの普及に伴い、大量のデータ処理を担うサーバー向けメモリーの需要が急増し、供給が逼迫した。その結果、スマートフォンやパソコン向けを含む従来型半導体の供給にも制約が生じ、チップ価格が短期間で大きく上昇。第1四半期だけでも価格はほぼ2倍に近い動きを見せた。

特にDRAM(記憶用半導体)の価格上昇が顕著で、調査会社は今後さらに50%以上の値上がりを見込んでいる。こうした価格動向は半導体メーカーの収益を押し上げる一方で、電子機器メーカーにとってはコスト増要因となり、製品価格への転嫁が懸念されている。

同社の利益の大半は半導体部門によって生み出され、全体の約95%を占める。一方で、スマートフォン事業など他部門は比較的穏やかな成長にとどまり、部品価格の上昇によって今後の利益率が圧迫される可能性が指摘されている。

また、韓国ウォン安も業績を押し上げる要因となった。ドル建てで得た収益をウォンに換算する際の為替効果により、利益が膨らんだ形である。このように、需要拡大と為替の追い風が重なり、同社はAI時代の半導体ブームの最大の受益企業の一つとなっている。

もっとも、先行きには不透明要因も存在する。中東情勢の緊迫化に伴うエネルギーコストの上昇や、半導体材料の供給網への影響が懸念されているほか、メモリー価格の上昇がピークに達しつつあるとの見方もある。実際、一部では高騰した価格に需要が追いつかず、スポット価格が下落する兆しも指摘されている。

さらに、AI向けの高性能メモリーであるHBM(広帯域メモリー)の分野では、競合の韓国企業SKハイニックスが先行しており、サムスンは巻き返しを図っている段階にある。すでに最新のHBM4製品の供給を開始するなど技術面での対応を進めているが、競争は激化している。

今回の業績は半導体市場がAI需要によって新たな成長局面に入ったことを示している。同時に、その成長が供給制約や価格高騰と表裏一体であることも明らかになった。今後は需要の持続性や価格動向、さらには地政学リスクが同社の成長を左右する要因となりそうだ。

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