◎今回の決定はあくまでワリエワ選手の女子シングル出場を認めただけのものであり、団体戦の結果が確定したわけではない。
2月14日、北京2022冬季五輪フュギュアスケート女子シングルの大本命であるROCのカミラ・ワリエワ選手は、大会前のドーピング検査で陽性と診断されたにもかかわらず、女子シングルへの出場を許可された。
スポーツ仲裁裁判所は14日早朝に行われた審理で、「完全な調査結果が出るまでの間、ワリエワ選手に出場停止処分を下す必要はない」と裁定した。
ワリエワ選手は昨年末に採取されたサンプル検査で狭心症の治療に使われるトリメタジンを使用していたことが明らかになった。この検査結果はROCが2月7日のフィギュア団体で金メダルを獲得した後、初めて公になった。
世界アンチ・ドーピング機構はトリメタジンを禁止薬物に指定している。2018年の平昌五輪に出場したROCボブスレーチームの選手もこの薬を使用し、8カ月間の出場禁止処分を受けている。
裁判所は、「15歳のワリエワ選手には成人のアスリートとは異なるルールが適用される」と判断した。
ワリエワ選手のような16歳以下のアスリートはアンチ・ドーピング規則の中で多くの権利を与えられており、通常、禁止薬物を摂取しても責任に問われることはない。今後の調査の焦点は、コーチ、医師、栄養士など、ワリエワ選手のチームに向けられることになる。
スポーツ仲裁裁判所のリーブ事務局長は記者会見の中で、「判事は現在の状況下でワリエワ選手の五輪出場を停止するべきではないと判断した」と述べた。
またリーブ事務局長は、「昨年末の検査結果の通知遅れは選手だけでなく大会主催者にも影響を与えたため、残念に思う」と述べ、検査機関の対応に苦言を呈した。
これにより、ワリエワ選手は他のROC選手と共に女子シングル史上初の表彰台独占を目指せることになった。ショートプログラムは15日、フリーは17日に行われる予定。
スポーツ仲裁裁判所はワリエワ選手の北京でのドーピング検査が陰性であったこと、そして昨年末の検査結果がこのタイミングで公表されたことについて、公平性に問題があると指摘していた。
ワリエワ選手は12月末に行われたロシア選手権の検査で陽性を示したが、検査を行ったスウェーデンの研究所は先週まで結果を公表していなかった。
ロシアのアンチ・ドーピング機関は直ちにワリエワ選手を出場停止にしたものの、ワリエワ選手は決定に異議を唱え、同機関は翌日、停止処分を解除した。国際オリンピック委員会(IOC)や国際スケート連盟などは裁判所に提訴し、13日遅くに審理が行われた。ワリエワ選手はオンラインで証言したと伝えられている。
今回の決定はあくまでワリエワ選手の女子シングル出場を認めただけのものであり、団体戦の結果が確定したわけではない。完全な調査結果が公表される時期は明らかにされていないが、スポーツ仲裁裁判所がROCの違法性を認めれば、ROCは団体戦の金メダルを剥奪される可能性がある。
ワリエワ選手は団体戦のショートプログラムとフリーを圧倒的な力で制し、五輪で女子初の4回転ジャンプを成功させ、チームに最高得点をもたらした。