アジアの指導者たちは10年以上におよぶ長い交渉と紆余曲折を乗り越え、巨大メガ貿易協定に署名する。
協定の参加国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の10か国と、中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド。
参加国の人口は世界のほぼ3分の1、国内総生産の合計は約29%を占める。
東南アジア地域包括的経済連携(RCEP)の規模は、アメリカ・メキシコ・カナダ協定(新NAFTA)とEU貿易協定をしのぐ。
インドも参加する予定だったが、地元の生産者に損害を与える可能性があるという理由で昨年撤退した。
欧米のようにパンデミックに弄ばれなかったアジアの指導者たちは、今週末のASEANオンライン会議でこれに署名する予定である。
RCEPとは
RCEPは、署名から20年以内に輸入品の様々な関税を撤廃することが期待されている。
また、知的財産、電気通信、金融サービス、eコマーズおよび専門サービスに関する規定もこれに含まれる。
しかし、製品の出自を公式に定義する原産地規則の影響を懸念する声もある。
すでに多くの加盟国が自由貿易協定(FTA)を互いに結んでいる。
アジア貿易センターのデボラ・エルムズ氏は、「RCEPを締結することで、既存のFTAが複雑になる可能性がある」と述べた。
例えば、オーストラリアの部品を含むインドネシア製の製品は、ASEAN自由貿易地域外で関税に直面する可能性がある。
ただし、RCEPはどの加盟国の製品も平等に扱うため、加盟国の企業は貿易地域内の取引でインセンティブを得ることができる。
RCEPは「中国を支援する」環太平洋パートナーシップ(TPP)の代替案と見なされている。
TPPには12の加盟国が署名したものの、トランプ大統領の大統領離婚令により、2017年に旗振り役のアメリカが離脱。その後、残されたメンバーは、環太平洋パートナーシップに関する包括的かつ進歩的な協定(CRTPP)を形成した。
加盟国は少ないが、CRTPPは関税をさらに引き下げた。
TPPに署名したオーストラリアのマルコム・ターンブル前首相はRCEPを「野心的な貿易協定」と呼んでいる。
バイデン政権は?
RCEPは厄介な貿易関係を持つ国々、主に中国と日本を上手くまとめると期待されている。
中国はオーストラリアの輸入品をボイコットする可能性があると報告されているにも関わらず、両国はRCEPに署名する予定。
アジア貿易センターのデボラ・エルムズ氏は、「誰かと協力することがイヤになる時もある。RCEPはその感情を押し殺す、という印象的な仕事をした」と述べた。
一方、TPPとの離婚に合意したトランプ大統領から権力を受け継ぐジョー・バイデン氏は、国際貿易の話をほとんどしていない。
新政権の通商政策は未知数、TPPへの参入を検討するかどうかは不明である。
・ジョー・バイデンのやりたいことリスト