▽高位公職者犯罪捜査庁の捜査官ら数十人は3日、ユン氏の拘束を試みたが、大統領警護庁に跳ね返され、撤退を余儀なくされた。
韓国の首都ソウルで尹錫悦(Yoon Suk-yeol)大統領の拘束令状をめぐる対立が激化している。
聯合ニュースによると、ユン氏を支持する保守派と逮捕を求めるリベラル派は凍えるような寒さの中、24時間体制で座り込みを続けている。
ユン氏を支持する数千人は4車線道路を完全封鎖し、政府高官などの捜査を担う高位公職者犯罪捜査庁を非難した。
SNSでは様々な偽情報が拡散している。あるX(旧ツイッター)ユーザーは同庁を「北朝鮮の手下」と呼び、数千のいいねを集めた。
ユン氏の逮捕を求めるリベラル派もこれに応戦。ユン氏を「イスラム国(ISIS)系テロリスト」「米国の飼い犬」などと呼んだ。
高位公職者犯罪捜査庁の捜査官ら数十人は3日、ユン氏の拘束を試みたが、大統領警護庁に跳ね返され、撤退を余儀なくされた。
両陣営によるにらみ合いは5時間以上続いた。聯合ニュースによると、高位公職者犯罪捜査庁の捜査官が警護庁の職員につかみかかるなど、現場は緊迫した空気に包まれていたという。
合同捜査本部は先月末、ユン氏が出頭要請を3度無視したとして、裁判所に内乱罪と権力乱用の容疑で拘束令状を請求。裁判所はこれを承認した。
令状の期限は1月6日まで。それまでに拘束できなければ失効する。
警護庁は5日、捜査当局が同庁の職員を暴行したとして、約150人を刑事告発したと明らかにした。
聯合ニュースによると、6日未明の時点で捜査本部が大統領府に捜査官を送り出す兆候は見られないという。
ユン氏は12月3日に戒厳令を布告。「共に民主党」が国会を支配し、北朝鮮に同調し、国家転覆を企てていると主張して、戒厳令を正当化しようとした。
捜査当局が撤退を余儀なくされたことを受け、両陣営の対立は最高潮に達した。保守派はリベラル派を「北朝鮮による韓国併合を画策するテロ組織」と、リベラル派は保守派を「殺人集団」「ゴミくず野郎ども」などと罵っている。
ユン氏の熱烈な支持者たちは「北朝鮮勢力が大統領職を奪い、金正恩(Kim Jong Un)に国を明け渡そうとしている」と主張。リベラル派はユン氏の支持者も全員投獄するよう呼びかけている。
捜査当局が仮にユン氏を拘束できた場合、裁判所に逮捕状を請求するとみられる。それが認められなければ、ユン氏は48時間後に釈放される。
捜査当局は警護庁がユン氏を警護する限り、拘束は「事実上不可能」としている。当局は大統領代行を務めるチェ・サンモク(Choi Sang-mok)副首相兼企画財政相に対し、拘束令状の執行に従うよう大統領警護庁に指示するよう求めているが、チェ氏は6日未明の時点でコメントを出していない。
警護庁の長官と副長官は4日、警察の出頭要請に応じなかった。当局は3日のにらみ合いを受け、公務執行妨害の疑いで2人から話しを聞く予定であった。