バングラ首都で活動家の死に抗議するデモ、日刊紙事務所に乱入、放火も
混乱の発端は、シンガポールに渡って治療を受けていた著名な活動家シャリフ・オスマン・ハディ氏が18日夕方に亡くなったとの報道がバングラ国内に届いたことだった。
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バングラデシュの首都ダッカで18日夜、2024年の蜂起で中心的役割を果たした活動家の死去を受け、抗議者らが有力日刊紙2社の事務所に乱入するなど大規模な混乱が発生した。この出来事はすでに不安定な国内情勢にさらなる緊張をもたらしている。
混乱の発端は、シンガポールに渡って治療を受けていた著名な活動家シャリフ・オスマン・ハディ(Sharif Osman Hadi)氏が18日夕方に亡くなったとの報道がバングラ国内に届いたことだった。
ハディ氏は12月12日にダッカ市内でリキシャに乗車中、後方からオートバイで追跡してきた男に銃撃され重傷を負い、その後シンガポールで治療を続けていた。
ハディ氏は昨年の政治的蜂起で中心的役割を果たした学生・青年運動の報道官であり、インドや長期政権を築いたハシナ(Sheikh Hasina)前首相(インドに亡命)に対する批判でも知られていた。
またハディ氏は26年2月に予定されている総選挙のダッカにおける主要選挙区で独立候補として出馬する意向を示していた。
抗議者たちはハディ氏の訃報を受け、ダッカ大学周辺の広場に集結。その後、国営紙「プロトム・アロ(Prothom Alo)」と英語紙「デイリー・スター(Daily Star)」の事務所へと移動した。
現地メディアによると、抗議者たちは両紙のビルに押し入り、デイリー・スターの建物では火が放たれ、内部にいた従業員が閉じ込められるなどの事態となった。軍や警察が建物周辺に展開するも、抗議者の数と勢いに圧倒された。
当局はハディ氏を襲撃した容疑者の身元を特定し、インドに逃亡した可能性が高いとの見解を示している。この発言を受け、インドとの間で外交的な応酬も起きており、インドはバングラ側に代表団を派遣、バングラは駐インド大使に説明を求めるなど、両国間の緊張が高まっている。
ハディ氏の死去を受け、暫定政権を率いるユヌス(Muhammad Yunus)首席顧問は国民へのテレビ演説で哀悼の意を表明し、容疑者への法的措置を約束するとともに、混乱の沈静化を呼びかけた。
今回の抗議行動とメディア事務所への襲撃は、バングラ国内の政治的緊張が依然として高いことを示している。特に24年の蜂起以降、政治的対立や暴力事案が続いており、治安当局や人権団体からは言論の自由や治安維持への懸念が強まっている。選挙が目前に迫る中、今後の政治情勢の不安定さが国内外で注目される状況となっている。
