タイ・チェンマイの観光施設でトラ72頭死ぬ、ウイルス検出
この施設は観光客がトラと触れ合えるとして人気を集めているが、今回の大量死は通常では考えにくい異例の事態だとして、関係機関や野生動物保護当局が詳細な調査を進めている。
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タイ北部チェンマイ県の観光施設「タイガーキングダム」で2月初旬から中旬にかけて計72頭のトラが相次いで死に、当局が原因究明に乗り出している。トラたちはタイガーキングダムの2つの施設で飼育され、10日余りの間に死んだと伝えられている。この施設は観光客がトラと触れ合えるとして人気を集めているが、今回の大量死は通常では考えにくい異例の事態だとして、関係機関や野生動物保護当局が詳細な調査を進めている。
チェンマイ県当局の発表によると、トラの死因について検査したところ、鳥インフルエンザは検出されなかったものの、犬ジステンパーウイルス(CDV)と呼ばれる致死率の高いウイルスと、呼吸器系に影響を与えるマイコプラズマ菌が確認された。これらの病原体が複合感染したことにより、重篤な肺炎や合併症を引き起こし、死亡が急増した可能性があるという。CDVは通常犬に多く見られる感染症であるが、トラなどの大型ネコ科動物にも感染しうることが分かっている。
トラたちは2月8日から19日にかけて死んだと報告されている。2つの施設は合わせて約240頭のトラを飼育し、今回の大量死は飼育個体の約3割に相当する。死んだトラの遺体は焼却または埋葬されたという。
地元当局は感染拡大を防ぐために残るトラを隔離施設に移送し、獣医師らによる健康観察と治療を進めている。隔離されたトラは症状に応じて複数のグループに分けられ、それぞれ免疫強化薬や抗生物質などの治療を受けている。また、施設内の消毒作業や獣舎の清掃が徹底され、今後のワクチン接種も検討されている。両施設は閉鎖され、再開は感染が完全に終息するまで見合わせられている。
当局は感染経路の特定にも努めているが、まだ明らかになっていないようだ。一部の関係者は閉鎖的な飼育環境や遺伝的多様性の欠如が免疫力低下を招いた可能性を指摘しているほか、共通の餌などを介した感染の可能性もあるとしている。これらの要因が複合して大規模な感染につながったとの見方がある。
ヒトへの感染リスクについては、現時点で犬ジステンパーウイルスや同時に検出された病原体がヒトに影響を与えたという証拠はなく、保健省などは一般市民に対し過度の心配をしないよう呼びかけている。ただし、現場で動物と接触した可能性のある飼育スタッフ108人が少なくとも21日間、健康観察の対象となっている。
動物保護団体や専門家からは、観光目的でのトラ飼育施設に対する管理強化と衛生基準の見直しを求める声が上がっている。この施設がトラの健康管理や病気対策にどの程度の備えをしていたかが問われており、今後の対策が注目される。
