◎パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタンで全国ポリオ予防接種キャンペーンが進む中、ポリオ感染者が急増している。
保健省の広報担当は21日、AP通信の取材に対し、「今年1月以来、パキスタンでは39人のポリオ感染者が確認されている」と語った。
同省は先月、予防接種キャンペーンを開始。約3200万人の子供にワクチンを接種する予定だ。その第2弾が10月28日から始まる。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタンは定期的に予防接種キャンペーンを実施しているが、それを担当する医療従事者や警察が何度も暴力に見舞われている。
パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。
保健省によると、新規感染者のほとんどがアフガンと国境を接する南西部バルチスタン州と南部シンド州で報告され、同じくアフガンと国境を接する北西部カイバル・パクトゥンクワ州と東部パンジャブ州がそれに続いている。