パキスタン「名誉殺人」事件、警察が11人逮捕 バルチスタン州

パキスタンの人権団体によると、昨年全国で少なくとも405件の名誉殺人が確認され、その多くが何の罪にも問われなかったという。
パキスタン、南西部バルチスタン州のアフガニスタン国境近く(Getty Images)

パキスタン南西部バルチスタン州で発生した「名誉殺人」について、警察は21日、11人の容疑者を逮捕したと明らかにした。

容疑者たちは若い夫婦を殺害した罪などに問われている。

この男女は家族の反対を押し切って結婚し、殺害されたとみられる。当局は20日、名誉殺人の疑いで1人を逮捕したと明らかにしていた。

名誉殺人とは婚姻拒否、強姦を含む婚前・婚外交渉、婚約者以外の男性との結婚・駆け落ちなどの自由恋愛をした女性やこれを手伝った女性らを「家族の名誉を汚す」ものとみなし、親族がその名誉を守るために殺害する風習のことである。

警察によると、この夫婦は先月、バルチスタン州の砂漠地帯で殺害されたという。

地元の部族が殺害を指示したとされる。

ソーシャルメディアで拡散した動画(削除済み)には女性がイスラム教の聖典コーランのコピーを受け取り、その後男性に「私と7歩歩いてから、私を撃っていい」と告げる様子が映っていた。

この動画にはSUVや複数の男の姿が映っている。

男性は妻に向けて少なくとも3発発砲。その後、映像が切り替わり、複数人が地面に横たわる2人に向けて発砲する様子が映っていた。

この動画はX(旧ツイッター)やフェイスブックなどで先月拡散。警察が捜査していた。

州警察は夫婦と容疑者の一部の身元を公表。親族が名乗り出なかったため、州政府も捜査に加わった。

州警察の長官は記者会見で、「花嫁の兄が家族の同意なしに結婚したと訴えたため、部族の長老が夫婦の殺害を命じた」と語った。

警察はこの兄と長老を含む11人を逮捕。捜査を続けている。

パキスタンの人権団体によると、昨年全国で少なくとも405件の名誉殺人が確認され、その多くが何の罪にも問われなかったという。

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