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▽サラ氏の破天荒な父親であるドゥテルテ前大統領は10日、ICCの逮捕状に基づき、首都マニラの空港で逮捕され、翌日、ハーグに飛ばされた。
2019年9月3日/フィリピン、首都マニラの政府庁舎近く、ドゥテルテ大統領(左)と娘のサラ氏(Getty Images/AFP通信)

フィリピンのサラ・ドゥテルテ(Sara Duterte)副大統領が12日、国際刑事裁判所(ICC)があるオランダ・ハーグに向かった。

サラ氏の破天荒な父親であるドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)前大統領は10日、ICCの逮捕状に基づき、首都マニラの空港で逮捕され、翌日、ハーグに飛ばされた。

ドゥテルテ氏は在任時、ハリウッドスターのクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)さんが演じた法律に縛られない映画キャラクター「ダーティハリー」を模して「ドゥテルテハリー」と呼ばれ、麻薬組織に対する数千件の超法規的殺人を容認し、軽微な犯罪を含む薬物関連の被疑者6000人以上を殺害した。

人権団体はこの取り締まりによる犠牲者の数を1万人以上と推定している。

ドゥテルテ氏は麻薬使用者の処刑を容認していないものの、麻薬組織の構成員は「容赦なく殺す」と脅し、摘発に抵抗する容疑者を射殺するよう警察に命じた。

ICCは数千人のフィリピン人を殺害した血生臭い「ドゥテルテ麻薬戦争」を主導したドゥテルテ氏が「人道に対する罪」を犯したとして、2018年から捜査を進めてきた。

ICCの捜査に協力したマルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr.)大統領は11日、「法の上に立つものはいない」と強調した。

やんちゃなドゥテルテ氏はICCで裁判を受ける最初のアジア人元国家元首となる可能性がある。

現地メディアによると、サラ氏は12日午前の便で首都アムステルダムに向かったという。サラ氏がそこで何をするつもりなのか、オランダにどのくらい滞在するのかは明らかになっていない。

ドゥテルテ氏の弁護団は12日、マニラで会合を開き、今後の選択肢を評価。ドゥテルテ氏がどこに連行されるのか、ドゥテルテ氏との面会が許可されるのかをハーグ当局に確認すると声明を出した。

また弁護団はあらゆる可能性を模索し、可能な限りの法的救済策を検討するとした。

現地メディアによると、ドゥテルテ家は最高裁判所に人身保護請求を提出する予定だという。

ドゥテルテ氏の逮捕の背景にはマルコス家との長年に渡る確執があるとされる。

マルコス家とドゥテルテ家はフィリピンで最も強力な一族であり、激しい権力争いを繰り広げてきた。

マルコス・ジュニア氏とサラ氏は22年の大統領選で勝利して以来、何度も対立してきた。フィリピンでは副大統領も選挙で選出するため、同国を代表する2つの勢力がポストを占める結果となった。

サラ氏は昨年11月、自身が暗殺された場合、マルコス・ジュニア氏とその妻、下院議長を殺害するために暗殺者と契約を結んだと明らかにした。

国家捜査局(NPI)はこの事態を受け、サラ氏に召喚状を送り、マルコス・ジュニア氏との争いの詳細を明らかにするよう命じた。

議会下院(定数316)は先月初め、サラ氏の弾劾決議案を3分の2以上の賛成多数で可決し、上院(元老院、定数24)に送った。

上院は弾劾決議案の採決時期について、5月の上院選挙で12議席が改選された後になるという見通しを示している。

サラ氏はマルコス・ジュニア氏が2028年に任期を満了した際、サラ氏が大統領選に立候補するのを阻止するために、恣意的に捜査当局を利用していると主張している。

サラ氏は自身が暗殺される恐れがあるという主張について説明していない。

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