◎先週就任したマルコス・ジュニア大統領はアルカイダやイスラム国(ISIS)系組織だけでなく、共産主義ゲリラとも戦わなければならない。
2016年11月23日/フィリピン、首都マニラ郊外の山間部、反政府勢力の戦闘員(Aaron Favila/AP通信)

フィリピン軍は5日、共産主義ゲリラが仕掛けた対人地雷で兵士7人が負傷したと発表した。

軍報道官によると、フィリピン共産党(CPP)の軍事組織「新人民軍(NPA)」が北サマル州郊外の農道に対人地雷を仕掛けたという通報を受け、現地に部隊を派遣したという。

報道官は兵士7人が負傷したと説明したが、地雷が爆発した経緯は明らかにしなかった。

7人のうち2人は重篤な状態で、村人にケガはなかった。

地元メディアは目撃者の話を引用し、「地雷の威力はすさまじく、爆発に巻き込まれた兵士は数メートル吹き飛ばされた」と報じている。

軍報道官は、国際法で禁じられている対人地雷の設置を非難し、NPAのリーダーを刑事告訴するとした。

フィリピンはオタワ条約(対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約)に参加・批准している。

地元メディアは政府筋の話を引用し、「NPAは攻撃後逃走した」と報じている。銃撃戦に発展したかどうかは分かっていない。

先週就任したマルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr)大統領はアルカイダやイスラム国(ISIS)系組織だけでなく、共産主義ゲリラとも戦わなければならない。

マルコス氏が就任した翌日、政府は中部の東ネグロス州で共産主義ゲリラ8人を取り締まり、1人を殺害したと報告した。

マルコス氏は公約の中で共産主義者との和平交渉を進めると約束し、貧困に苦しむ地方向けのインフラ、住宅、生活開発プロジェクトを導入すると約束した。

しかし、マルコス氏は前任のドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が創設したNPA暗殺部隊(通称スズメ部隊)への支持を表明し、その活動を維持するとしている。

批評家はスズメ部隊が平和的な左翼活動家も取り締まりの対象にしていると非難している。

フィリピンの共産主義ゲリラは派閥争いや内紛により弱体化したが、半世紀以上政府と対峙し、各地でゲリラ作戦を展開している。現在の戦闘員数は2700人と推定されている。

フィリピン共産党はマルコス氏の就任日に声明を発表。「NPAはドゥテルテの暴力を阻止した」と称賛し、マルコス政権に代わっても攻撃は続くとした。

マルコス氏の父である独裁者の故フェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)は共産主義者や左翼ゲリラを徹底的に取り締まった。

政府のデータによると、共産主義者との50年以上にわたる闘争の犠牲者は3万人にのぼるという。

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