◎フィリピンは国際刑事裁判所の締約国だが、ICCに調査を行う権限はないと主張。この問題に関する調査は2021年末に中断されていた。
2021年9月7日/フィリピン、首都マニラ、ドゥテルテ大統領(AP通信)

国際刑事裁判所(ICC)は26日、フィリピンの麻薬戦争に関する犯罪調査を再開することに同意した。

フィリピン検察は昨年、2011年11月~2019年3月までの麻薬取り締まりが「人道に対する罪」に当たるとして、ICCに調査の再開を求めていた。

フィリピンは国際刑事裁判所の締約国だが、ICCに調査を行う権限はないと主張。この問題に関する調査は2021年末に中断されていた。

しかし、検察は昨年、「ICCの調査再開を認めるべき」と指摘。フィリピン政府の主張に異議を唱えた。

ICCはフィリピン政府、検察、被害者の証言などを検討し、26日に調査を再開することで同意した。

ICCは声明の中で、「国内のさまざまな取り組みや手続きを総合的に評価した」と述べている。

昨年退任したドゥテルテ(Rodrigo Duterte)前大統領は米俳優クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)さんが演じた「ダーティハリー」を模して「ドゥテルテハリー」と呼ばれ、麻薬組織に対する数千件の超法規的殺人を容認し、軽微な犯罪を含む薬物関連の被疑者6000人以上を殺害したと告発されている。

人権団体によると、実際の死者数はこれよりはるかに多く、一部の未解決事件には警察官が関与している可能性もあるという。

ドゥテルテ氏は一連の取り締まりについて、「国民の人生を破壊してきた麻薬王や売人を合法的に取り締まってきた」と主張している。

ドゥテルテ氏は「薬物を扱ったものは殺す」と公の場で発言し、警察に容疑者が抵抗した場合はその場で射殺するよう命じたが、超法規的殺人を容認したという告発は否定している。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは26日、「ICCの調査は弾圧の犠牲者とその家族の正義を追求する唯一の手段である」と声明を出した。

ドゥテルテ氏は2019年3月をもってICC締結国から脱退したと一方的に主張したものの、その法的拘束力は現在も最高裁で争われている。

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