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フィリピン2025年第4四半期GDP+3.0%、市場予想下回る

第4四半期の成長が予想を下回った主因として、インフラ整備事業を巡る汚職スキャンダルが指摘されている。
フィリピン、首都マニラの市場(ロイター通信)

フィリピン統計局は29日、2025年第4四半期(10〜12月)の国内総生産(GDP)が前年同期比で3.0%増加したと発表した。市場は4.0%と予想していた。これにより、2025年通年のGDP成長率は4.4%にとどまり、政府が掲げる5.5〜6.5%の目標を大きく下回った

第4四半期の成長が予想を下回った主因として、インフラ整備事業を巡る汚職スキャンダルが指摘されている。この問題により公共支出が大幅に減速し、経済成長の押し上げ役である政府支出の寄与が低下したと見られる。また、台風などの自然災害や対外貿易の圧力も成長に影響を与えた可能性があるとの指摘もある。

項目別では、政府支出や家計消費の伸びが鈍化した一方で、固定資本形成(投資部門)が1年以上ぶりにマイナスを記録するなど、投資活動が弱含んだ。これに対し純輸出はプラスとなったが、経済全体の押し上げには十分でなかった。生産面では、農林水産業やサービス業の成長率も低下し、製造業も縮小するなど幅広い分野で活動が弱まった。

中央銀行は成長鈍化を受けて追加の金融緩和の可能性を探っている。中銀のレモロナ(Eli Remolona Jr.)総裁は今回のGDP結果が2月19日に予定されている金融政策決定会合における判断材料になると述べている。すでに中銀は政策金利を累計で2.00ポイント引き下げ、3年ぶりの低水準である4.50%としているが、緩和サイクルの終盤にあるとの見方も示している。

経済成長が政府目標を大きく下回ったことは、フィリピン経済にとって大きな失速を意味する。成長鈍化は雇用や所得の伸びにも影響を及ぼす可能性があり、家計消費や企業投資の回復にどの程度結びつくかが注目される。また、公共工事の汚職問題に対する行政の対応や透明性の強化が、今後の公共支出回復にとって重要な課題となっている。

政府は25年通年の成長率について、インフラ投資の遅れを一時的な要因とし、26年には成長が持ち直すとの見通しを示しているが、実際の回復ペースは不透明である。国際機関や市場はフィリピン経済の成長鈍化を警戒しており、世界経済の減速や外部環境の変化が国内景気にどのように影響するかが今後の焦点となる。政策当局は財政・金融両面で対応を模索している。

今回のGDP発表はアジアの新興市場として高い成長が期待されるフィリピン経済にとって、予想以上に厳しい現実を突き付ける内容となった。政府と中銀が今後どのような政策対応を行うかが、26年の経済に大きな影響を与える見込みである。

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