◎サラ副大統領とマルコス・ジュニア大統領は2年前の選挙でタッグを組み、他の候補を圧倒、初当選を果たした。
フィリピンのサラ・ドゥテルテ(Sara Duterte)副大統領が兼任する教育相を辞任する。大統領府が19日、明らかにした。
それによると、サラ氏はマルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr.)大統領に辞表を提出し、受理されたという。副大統領職にはとどまる。
後任の教育相は未定。サラ氏は7月19日付けで教育相を辞任する。大統領府によると、サラ氏は共産主義勢力との紛争終結に向けた国家タスクフォースの副議長からも退く。
サラ氏は辞任の理由を明らかにしていないが、父親のドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)前大統領とマルコス・ジュニア氏の関係悪化が背景にあるとみられる。
サラ氏とマルコス・ジュニア氏は2年前の選挙でタッグを組み、他の候補を圧倒、初当選を果たした。
しかし、ドゥテルテ家とマルコス家の関係はその後急速に悪化した。
ドゥテルテ派の国会議員は今年初め、マルコス氏が大統領の任期制限を撤廃する憲法改正を画策していると主張。独裁者である故フェルナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)元大統領と同じような権威主義者となり、内乱に発展する恐れがあると警告した。
別のドゥテルテ派議員はマルコス・ジュニア氏を「麻薬中毒者」と呼んだ。
マルコス・ジュニア氏はこれらの主張を一笑に付し、「ドゥテルテ氏こそ、フェンタニルを常用する中毒者である」と主張した。
最新の世論調査によると、マルコス・ジュニア氏の支持率は50%前後で推移している。
ドゥテルテ氏は在任時、ハリウッドスターのクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)さんが演じた法律をほとんど考慮しない映画キャラクター「ダーティハリー」を模して「ドゥテルテハリー」と呼ばれ、麻薬組織に対する数千件の超法規的殺人を容認し、軽微な犯罪を含む薬物関連の被疑者6000人以上を殺害。西側諸国と人権団体の強い懸念を引き起こした。