フィリピン上院、サラ副大統領の弾劾決議案下院に差し戻し

下院(定数316)は2月、サラ氏の弾劾決議案を賛成多数で可決し、上院に送った。
フィリピンのマルコス・ジュニア大統領(右)とサラ・ドゥテルテ副大統領(AP通信)

フィリピンの議会上院(元老院、定数24)は10日、サラ・ドゥテルテ(Sara Duterte)副大統領の弾劾決議案を下院に差し戻し、同決議案の憲法適合性を明確にするよう求めた。

下院(定数316)は2月、サラ氏の弾劾決議案を賛成多数で可決し、上院に送った。

上院は決議案の審理開始から数時間後、下院に差し戻す決議を可決した。

議員たちによる激しい議論の末、サラ氏の盟友が決議案の否決を試みる中、審議を続けることで合意したが、まず下院に戻し、手続きの合憲性を確認させることにした。

ドゥテルテ派の議員団は声明で、「私たちは政治的中立性を守るという誓いを果たす」と述べた。

サラ氏は昨年11月、自身が暗殺された場合、マルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr.)大統領とその妻、下院議長を殺害するために暗殺者と契約を結んだと明らかにした。

当局はこの事態を受け、サラ氏に召喚状を送り、マルコス・ジュニア氏との争いの詳細を明らかにするよう命じた。

マルコス・ジュニア氏とサラ氏は22年の大統領選で勝利して以来、何度も対立してきた。フィリピンでは副大統領も選挙で選出するため、同国を代表する2つの勢力がポストを占める結果となった。

マルコス家とドゥテルテ家はフィリピンで最も強力な一族であり、激しい権力争いを繰り広げてきた。

今回の暗殺論争の背景にはサラ氏の父であるドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)前大統領とマルコス・ジュニア氏の確執がある。

サラ氏は公的資金を不正に使用し、説明のつかない富を蓄えたという疑惑にも直面している。サラ氏はこれらの疑惑を全て否定している。

ドゥテルテ前大統領は3月、国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状に基づき、首都マニラの空港で逮捕、オランダ・ハーグに送還された。

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