◎フィリピンの選挙戦はとても騒がしく、最近ではソーシャルメディアが重要な戦場のひとつになっている。
2022年3月25日/フィリピン、ケソン・シティで行われた選挙キャンペーン開始イベント(Aaron Favila/AP通信)

フィリピンの選挙管理委員会は24日、5月の総選挙に向けた選挙戦が本格的に始まったことを受け、数万人の候補者と数百万人の運営関係者にコロナウイルスの感染予防対策を徹底するよう呼びかけた。

5月9日の選挙では大統領、副大統領、連邦議会議員、地方議員、市長、町長など、合わせて18,000以上の議席を数万人の候補者が争う。選挙管理委員会によると、フィリピン国内の有権者は約6,600万人、海外有権者は約160万人。

大統領選のキャンペーンは先月から本格的に始まった。最新の世論調査によると、追放された元独裁者フェルディナンド・マルコスのひとり息子であるマルコス・ジュニア氏が他の候補を大きく引き離しているという。

副大統領選はドゥテルテ大統領の娘であるサラ・ジマーマン氏がリードしている。

フィリピンの選挙戦はとても騒がしく、最近ではソーシャルメディアが重要な戦場のひとつになっている。

首都マニラでは市長候補がピックアップトラックから手を振り、その隣でダンサーが踊りを披露した。この市長候補の活動はフェイスブックでライブ配信された。

別の候補は歩道を走り回り、スマートフォンで写真を撮る群衆の中に飛び込み、一緒に自撮り写真を撮影し、SNSで立候補を表明した。

一方、選挙管理委員会と保健当局は選挙戦がコロナウイルスのスーパースプレッダーイベントになる可能性があると懸念を表明し、すべての候補と関係者にマスクの着用を含む感染予防対策を守るよう強く呼びかけた。

保健当局によると、直近1週間の平均陽性は500件以下、死者は約130人。政府は1月のオミクロン株急拡大に合わせてワクチン接種キャンペーンと予防対策を強化し、何とか感染を抑え込むことに成功した。

郊外の都市マリキナでは市長候補が猛暑の中、マスクを着用した状態で一軒一軒を有権者宅を訪問し、声をかけていた。地元メディアによると、このような光景が全国各地で繰り広げられたという。

一部の候補者はコロナ規則を公然と無視し、マスクを着用せずに有権者と握手し、自撮りしたと報告されている。

選挙管理委員会のジョージ・ガルシア委員は24日、候補者にコロナ規則を守るよう警告した。

またガルシア委員は法律で定められている選挙の規則を守るようすべての関係者に求めた。「公共の場所にポスターを貼らないでください。パトカーで選挙活動を行わないでください。電車やバスにポスターを貼らないでください...」

委員会は選挙ポスターを無許可の場所に貼るなどの違反行為の取り締まりに苦労している。しかし、ポスターを図書館に張ったり、公務員がビラを配るのは可愛いほうである。

地方選挙の取り締まりは極めて緩く、ゲリラや私兵部隊が活動している地域では多くの流血事件や抗争が発生し、不正行為が公然と行われている。

昨年末、南部ザンボアンガ市でオートバイに乗った武装集団が近くの島の町長を射殺し、もうひとりに重傷を負わせる事件が発生した。

射殺された町長は5月の町長選で再選を目指していたと伝えられている。当局は犯人の行方を追っているが、捜査は遅々として進んでいない。

2009年には南部マギンダナオ州の当時の州知事の家族が配備した重武装兵が、対立する候補の家族を公開攻撃し、ジャーナリストを含む58人を虐殺する事件が発生した。この州知事の息子を含む事件に関与した28人は終身刑を言い渡されている。

ドゥテルテ大統領は、暴力や不正を働く候補者がいれば、容赦なく軍を出動させると繰り返し警告している。

ドゥテルテ大統領は昨年9月、暴力と不正が蔓延するミンダナオ島で演説した際、「いつでも軍を呼び出し、国民と選挙を保護する」と述べ、流血や暴力は許さないと警告した。「軍はわが国の守護者です。私は国民に危険が及んだり、選挙の自由が侵害されれば、いつでも軍を召喚します」

ドゥテルテ大統領は2016年の大統領選で公約に掲げた「麻薬組織の殲滅」を達成するために血生臭い取り締まりを推進し、軽犯罪の容疑者を何千人も殺害した。

2018年4月2日/フィリピン、首都マニラの最高裁判所前、元上院議員のフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏(Aaron Favila/AP通信)
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